コラム

生命の基本「細胞」

人間の体は約37兆個の細胞からできており、細胞1つひとつが生きています。

少し前までは60兆個と言われていましたが、疑問を持った人が、2013年に人の細胞数を算出しました。

卵子というたった1つの細胞に精子が入って受精すると成長し始めます。細胞分裂が始まり倍々に分裂して、ヒトの細胞は37兆個にまで増えます。

37兆個になると増殖が止まります。私たちの手や目が、3つ4つとならないわけです。また、神経細胞などを除き、多くの細胞は絶えず入れ替わっています。

どこかの細胞が消滅すれば、新しく生まれた細胞に置き換わるので数は増えません。皮膚など細胞の入れ替わりをイメージすれば分かりやすいです。一番外側は垢となって落ち、中から新しい細胞が生まれます。

ただし、例外があります。がん細胞は無制限に増えるのです。

細胞の大きさ

1つの細胞の中にそれぞれ1人の人間を作るすべての遺伝情報が入っています。2万数千の遺伝子があり、その遺伝子のセットを「ゲノム」と呼びます。命の設計図です。

人の細胞の大きさは、0.006~0.025ミリ程。その中にあるミトコンドリアやリソソームなどの細胞小器官(オルガネラ)は細胞の臓器のようなものですが、0.0005ミリ程度。菌や肺炎などを引き起こすマイコプラズマという細菌、ウィルスはさらに小さいです。

さて、細胞で重要な働きをするタンパク質。お肉やお魚を思い浮かべてしまいますが、桁違いに小さくて、0.000001ミリほどしかありません。でも、細胞の中では、たんぱく質が活躍しています。

細胞の中は宇宙のよう!

とても小さな細胞。肉眼で見ることはできませんが、その空間は無限に広がっており、さしずめ宇宙のようです。

また、人間が生きる社会にとても似ています。

細胞小器官(オルガネラ)は、発電所や工場そして病院などの施設といえます。そしてそこで働いている人は誰でしょうか。それはタンパク質です。

タンパク質が主役

人間社会では人が主役であるように、細胞の中ではタンパク質が主役です。様々な職業があるように、タンパク質も数万種類もあり、それぞれが異なる役割を持っています。

人は職業を選択できますが、タンパク質は生まれながらに職業が決まっており、職業選択の自由はありません。

わたしたちの37兆個の細胞それぞれの中に社会があり文句も言わず、懸命に働く無数のタンパク質たち。彼らのお陰で私たちの命が成り立っています。

ところで、職業選択の自由がないタンパク質、何がこの職業を決めているのでしょうか。それは最初にお話したとおり、遺伝子です。

タンパク質の材料はアミノ酸でしたね。アミノ酸は100種類以上ありますが、タンパク質をつくるアミノ酸はそのうちの20種類だけなのです。

人間の体をタンパク質が動かしている

20種類のアミノ酸の複雑な組み合わせにより、数万種類ものタンパク質が作られます。

例えば、細胞を構成し、組織や器官など体の構造になる「構造タンパク質」。そう、コラーゲンなどがあります。

また、物質を生体内の別の場所に運ぶ「輸送タンパク質」や、病原体から体を守る免疫システムの担い手である「抗体」もタンパク質です。

そしてなによりもタンパク質の種類が多いのが「酵素」(エンザイム)で、約半数を占めています。

酵素は皆さんご存知のように、消化や分解、そして合成などの化学反応を促す役割がありますし、細胞や細胞小器官を包む膜などを作る酵素もあります。

私たちの体には、いろいろな仕事を受け持つタンパク質があり、多種多様なこれらタンパク質のお蔭で、生き物としての形や働きが決まってきます。

タンパク質って、ほんとに凄いですね。次回はこのたんぱく質についてさらにお話していきたいと思います。

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