風邪をひくと腫れる、のどの奥のリンパ。
「仕組みや働きもよくわからないし、いいイメージもないわ」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
でも、あなどってはいけません。実はこのリンパ、別名「神秘の臓器」と呼ばれ、体を守ってくれる守り神のような存在。人間の免疫と健康を大きく左右する重要な組織なのです。リンパをおろそかにしていると、助かるものも助からなくなってしまいます。
新型コロナウイルス感染症が世界中に広がったことで、私たちの毎日の生活も、感染予防を前提としたものに様変わりしました。
コロナやインフルエンザに感染しないためには、リンパの働きをよく知り、自分の持っている体の免疫力を上げることが必要不可欠です。
リンパって何?
リンパとは、リンパ管と呼ばれる管の中を流れるリンパ液のこと。
リンパ液は、血液の一部が毛細血管から体の各組織に漏れ出した液体で、体の各組織に栄養や酸素を運び、老廃物や細菌などを回収します。体内の液体バランスを保ち、老廃物の排出を助け、免疫系をサポートする重要な役割を果たしています。
リンパは謎に満ちており、研究が遅れていましたが、ここ数年で飛躍的に基礎研究が進み、ようやくその一端が見えてきました。現在も国内外を問わず、様々な研究が続けられています。
リンパ液が流れるリンパ管
血液が流れる管は血管ですが、リンパ液が流れる管はリンパ管と呼びます。リンパ管は動脈、静脈と同様に身体中をくまなく巡る管。
血液の場合、心臓がポンプの役割を果たし血液を流しますが、リンパ管にはそのような大きなポンプがありません。そのため、人の動きとともに起こる筋肉の収縮、弛緩によって生じる圧力、呼吸によって生じる胸の中の圧力の変化、体の外からのマッサージ刺激などがリンパ液を流す助けとなります。
リンパ管の集合体「リンパ節」
リンパ管は体内で何度も合流を繰り返しますが、合流する部分にそら豆のような形をした「リンパ節」と呼ばれる場所があります。
リンパ節には、リンパ球、マクロファージなどの免疫細胞が集まっており、リンパ液に含まれる異物や病原体を除去し、きれいな液体となって、血管へと流れていきます。
ちなみに、のどの奥にある扁桃腺は、リンパ節の1つです。風邪をひくと腫れることがありますが、これは扁桃腺の中でリンパ球が増え、細菌とたたかうことによって起こる現象です。
リンパ節はどこにある?
リンパ節は、首や脇の下、そけい部などに集まっています。
リンパの流れは、手や足裏などの末梢から体の中心に向かう一方通行の流れしかありません。リンパ液は手足の先端からわきやそけい部のリンパ節を経て体内の深部リンパ系へと流れ込み、最終的に首の付け根付近で鎖骨下静脈と呼ばれる太い血管に合流します。
リンパの老廃物はどこへ行く?
あらゆる臓器を流れ、老廃物を処理してくれるリンパは、人間にとって下水道、浄水場のような存在です。なお、リンパ節で処理しきれなかった老廃物は鎖骨下静脈へ入り、肝臓・腎臓を経て排泄されます。
その悩み、リンパの詰まりが原因?
筋力が弱くなる、動かなくなるなど、リンパの流れが滞る生活をしていると体内の老廃物や余分な水分が排出されにくくなり、免疫機能も低下します。 そのため様々な不調の症状が出てきます。肥満、 肌荒れ、便秘、冷え、肩こり、頭痛、むくみなどの他、疲労物質が身体に溜まるため疲れを感じやすくなります。
何をしても改善しない体調不良があるとすれば、「リンパの流れの悪さ」が原因かもしれません。
リンパ詰まりの症状として、次のようなものがありますのでチェックしてみてください。
・リンパ液がたまることで皮膚の厚みが増し、皮膚をつまんでもしわが寄りにくい。
・腕や足のむくみがひどくなり、腕や足が重く疲れやすくなる。
・むくんでいる場所を指で押すと跡が残る。
老廃物が溜まるとなぜ痛いの?
老廃物が溜まるとリンパの流れが悪くなり、血液の流れも悪くなります。流れが悪くなることで滞りが出来、筋肉が硬くなるのです。そこに圧をかけることで痛みを感じる事があります。リンパマッサージに「痛気持ちいい」イメージがあるのはそのためかもしれません。
リンパの流れを良くする食べ物
豆腐・豆乳・味噌・納豆などからピーナッツやアーモンド。
・野菜・・・βカロチンやビタミンCを豊富に含み、リンパの流れを良くする効果が見込めます。特ににんじん・かぼちゃ・ブロッコリーなど緑黄色野菜を積極的に摂りましょう。
・果物・・・クエン酸を多く含む果物がリンパの流れを良くしてくれます。
逆にリンパの流れを悪くする物として、塩分の多い食事、アルコールやカフェインの過剰摂取、水分不足などがあげられます。たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを過不足なくとれるバランスのいい食事を心がけましょう。