コラム

その胃の痛みはストレス?機能性ディスペプシアとは

胃がもたれる、みぞおちが痛い、食事をするとすぐに満腹になる。胃の不快感がつづくと、胃潰瘍や胃がんなどの病気ではないかと心配になりますよね。
これらの症状は胃下垂や胃アトニー、胃痙攣や神経性胃炎、慢性胃炎などと診断されていました。
しかし胃カメラや精密検査で異常がないにもかかわらず、もたれや痛みなどが現れることがあります。これを2013年5月より“機能性ディスペプシア(胃腸障害)”と呼ぶようになりました。日本人の有病率は4人に1人といわれ、症状を訴え病院を受診する患者の45~53%と大多数を占めます。

まず自己診断してみましょう。

機能性ディスペプシアの症状暴飲暴食をした翌日に胃もたれや胃痛に苦しんだ経験があるかもしれません。機能性ディスペプシアは一時的な症状にはあてはまらず、症状が慢性的に持続します。
よく起こる症状は大きくわけて2つ。両方が重なって起こったり、日によって症状が変わることもあります。

【食後愁訴症候群】
「食後のもたれ感」「早期満腹感」
食後に週3回以上の頻度で感じる場合はこちら。消化スピードが遅かったり早すぎたりすることが症状の原因と考えられます。
【心窩部痛症候群】
「みぞおちの痛み」「みぞおちの灼熱感」
食後愁訴症候群と違い食事に関係なく起こります。みぞおちを中心とした症状、胃酸に過剰反応し胃の粘膜が傷つけることで痛みを発症します。機能性ディスペプシアの人は、胃食道逆流症や過敏性腸症候群を合併しやすいことが知られています。
呑酸があれば胃食道逆流症、下痢や便秘などの症状があれば過敏性腸症候群の可能性があります。 これらは生活に支障をきたし、QOL(生活の質:quality of life)を低下させてしまう原因になります。

ストレスも発症の引き金に
機能性ディスペプシアの原因はさまざまありますが、ストレスがきっかけとなって自律神経が乱れ、胃の機能異常がはじまることもわかっています。
【運動機能異常】
胃の蠕動運動が低下します。その結果、胃から腸への排出が悪くなり胃もたれを引き起こします。この働きが悪くなると早期満腹感が出現します。
【内臓知覚過敏】
胃酸や胃の筋肉の伸展などの刺激に敏感に反応し痛みや胃もたれを感じます。
胃は精神的な影響をとても受けやすい臓器です。これらがまたストレスとなって、つらい症状が長引くことも。病院で検査をして異常がないとわかれば気持ちが楽になり、症状がおさまるケースもあります。

機能性ディスペプシアだけでなく多くの胃腸病は、薬物療法以外に生活習慣を見直すことで予防や症状の軽減が可能です。
発症にはなんらかの誘因があることが多いので、ストレスを溜めたままにしないようにしましょう。ストレス解消には規則正しい生活や入浴、たっぷりの睡眠をとることが不可欠です。

お勧めは胃を急激に膨らませないために、軽めの食事を4~5回に分ける方法。小麦や豆、イモ類に含まれる不溶性植物繊維はガスを発生させる原因になるので、パンよりお米を主食にしましょう。
アルコールやカフェインの飲み過ぎは、胃の分泌を過度に促進させます。油ものは胃の中で酸化しやすいのでほどほどに。青魚に含まれるDHAやオメガ3は体にいい成分が含まれていますが、食べ過ぎると胸やけの原因になることも。
魚油やアマニ油、ビタミンEといった油脂類、ビタミンCなどの酸性のサプリメントをとる場合は胃に負担がかかるので注意しましょう。

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