コラム

誰もがなり得る?体と心、そして神経を蝕む病気①

アナウンサーの八木亜希子さんや女優の奈美悦子さん、ミュージシャンのレディー・ガガさんなどが発症した「線維筋痛症」をご存知ですか?
血液や尿検査、CTやMRIなどの精密検査をしても異常は見られず、原因が特定できないこの病。誰もが経験するような症状からはじまり、進行していくとついには全身に耐えがたい激痛が走るようになります。
じつは松渓の母親も発症して闘病中です。今回は2回に分けてお話ししていきます。

どんな病気なのか?

線維筋痛症の発症初期は痛みより倦怠感や不眠、耳鳴り、視力障害などといった他の症状(図①)として現れるため、多くの医師も線維筋痛症に気づけません。

その後、筋肉から関節そして体幹から両手足に痛みが出現し、だんだんと強くなります。
発症者は女性、とくに中高年に多く患者数は約200万人と推定されています。
外傷や他の病気がないのに3ヶ月以上、全身のあちこちに痛みがあって、図②の左右20ある圧痛点を指で押して、11ヵ所以上に痛みがある場合は「線維筋痛症」の疑いがあります。
押す力は4kgの圧力、一本指で空のペットボトルが1センチ程度へこむくらいの力になります。

こんな症状に悩んでいませんか

線維筋痛症は痛みのほか、さまざまな症状が現れます。
図①の症状で最も多いのが不眠の悩みで、患者さんの9割近くに入眠障害、中途覚醒、熟眠障害といった、何らかのかたちで現れています。

不眠で悩んでいる方は今一度、図②の圧痛点テストで確認してみましょう。
不眠はストレスとなって線維筋痛症を悪化させ、睡眠障害も悪化するという、負のスパイラルに陥ってしまいます。

原因不明のため周囲の無理解も・・・

近年、日本で行われた研究により、神経細胞中にNRSFというタンパク質が過剰に存在すると、発症する確率が高くなることが分かりました。
また患者さんの話を総合すると、下図③にあるように肉体的・心理的ストレスが引き金となって発症することが多いようです。

実際モーガン・フリーマンさんも2008年に起こした交通事故のケガが原因で線維筋痛症を発症していますし、じつは松渓の母も右腕を骨折したのちに発症しています。同じような経験をされている方が非常に多いため、何らかの関連が考えられるようです。
患者さんを悩ませる痛みはかなりつらく、次のように表現されます。
・雷に打たれているよう
な痺れ
・体内で爆発しているよ
うな痛み
・ナイフで体を切り裂か
れているようだ
・ガラス片が体中を引き
裂き巡っているようだ
痛みの程度は天候や気温に湿度、五感による刺激、肉体的・精神的ストレスで変わってきます。

次回はその②  症状の進行と治療法に続きます。

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