コラム

飲み込む力を鍛えましょう

「蕎麦やラーメンをすするとむせやすくなった」「声が枯れやすくなった」「夜中にせき込んで目が覚める」
もしかしたら「ノドの飲み込む力」が落ち込んで、『誤嚥(ごえん)性肺炎』のリスクが高まっているかもしれません。

若くても油断禁物!あなたのノドは大丈夫?

まずは上表であなたのノドの状態を把握しましょう。
◉2つ以上当てはまる人⇨ノドの力が弱まり始めている。
◉4つ以上あてはまる人⇨すでにノドの力が弱っているかも。

次に現在の飲み込む力、ノド年齢を確認しましょう。
お水を一口飲んで口の中を湿らせてから人差し指をノド仏の少し上に当てて、30秒間に何回『ごっくん』と唾液を飲み込めたか数えて下さい。その回数であなたのノド年齢が分かります。

いかがでしたでしょうか。
誤嚥性肺炎のリスクは5回以下になると高まります。
ものを飲み込むことは呼吸や瞬きと同じ自然の動作なので、意識しておこなったチェック結果にビックリしたかもしれません。
ちなみに52歳の筆者は8回で、なんとか合格というところですかね……。

ノドの衰えの原因は?

私たちは食べ物を歯で咀嚼(そしゃく)して舌で味わい、次に口を閉じて舌で食物を首の下に送り込みます。このとき、同時に軟口蓋が上がり鼻に食物が流れるのを防ぎ、咽頭が収縮して下へ送り込みます。

するとノド仏を中心とした喉頭がもち上がり、喉頭蓋(こうとうがい)が働いて気管に食べ物や水が入らないようにフタをします。この喉頭蓋が衰えて正常に働かないと「誤嚥」に繋がってしまいます。
喉頭蓋の機能は20代でピークを迎えます。
その後は加齢によって全身の筋肉が低下するのと同様に40代からノドの筋力が弱まり60代以降、急速に衰えます。
ノドの筋力が衰えるとノド仏の位置が下がり、喉頭蓋のフタが閉まりづらくなって気管へ誤嚥する可能性がぐっと高まってしまいます。
実際、医学博士で耳鼻咽喉科を開業している西山医師は、一般耳鼻咽喉科を受診している75歳以上の三分の一が誤嚥していたと報告しています。

肺炎患者の7割が誤嚥性

ノドの衰えで最も怖いのが『誤嚥性肺炎』です。
肺炎は日本人の死因の第4位(1位はガン、2位は心疾患、3位は老衰)で、亡くなった人の7割が誤嚥による肺炎が関係しています。
誤嚥性肺炎は、食事や唾液と一緒に口中の常在菌が肺に到達して炎症を起こす疾患です。とくに眠っている間の唾液の誤嚥が引き金となって発症する例が多いといわれています。
一般的な肺炎の症状である発熱や咳などが出ず、それでも病状が悪化して呼吸困難をおこし歩けなくなり、最悪の場合は寝たきりになったり死亡することもあります。

さらに発症の初期では他の呼吸器感染症と区別がつかず、治療が遅れることもありますので「食後に咳や淡が増える」、「声が枯れる」といった場合は誤嚥性肺炎を疑いましょう。
さて、衰えたノドの筋力ですが、何歳になっても鍛えることができます。
次に紹介するトレーニングを行って『誤嚥」との『ご縁』を断ち切って下さいね。

いずれもノドを意識して毎食前に5~10回行うと飲み込む筋力が高まり、誤嚥のリスクは低下します。食事前の準備体操として行うといいでしょう。
また身近な予防法としてはカラオケで歌う、漫才やコントを見て大笑いするのもノドの筋力アップに有効です。ぜひお試しください。

 

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