コラム

近視パンデミック!その①

今、世界中で近視の人が増えています。
2016年にオーストラリアの視覚研究所が発表した資料によると、2010年では20億人だった世界の近視人口が、2050年には世界人口の約半分、50億人に達すると予測しています。
しかも、そのうちの10億人が失明のリスクがある強度近視だというのです。
今回は2回に分けて、急増する近視とその対策についてお話します。

遠視と近視の違い

本来、私たちの目は遠くのものが一番よく見えるようになっています。これを正視といいます。

①正視

②遠視
目で見たものが網膜の後ろでピントを結ぶ状態を遠視といいます。一般的に遠視の人は遠くが良く見えるといわれます。

これは事実で、弱い度数の遠視だと視力検査で2.0となることもあります。眼球の形状が図のように前後が短い(医学用語で「眼軸」が短い)目にあらわれます。
よく見えるため問題がないと思われがちですが、常に遠・近の両方にピント合わせをしているため、眼精疲労の原因となります。

③近視
目で見たものが網膜の手前でピントを結ぶ状態をいいます。近くのものは良く見えますが遠くはぼやけてしまいます。

近視は図のように、眼球の眼軸が長く伸びることが主な原因と考えられています。

なぜ眼軸が伸びるのか?

私たちの目はレンズの役目をする水晶体を厚くしたり薄くしたりすることによって、遠くや近くにピントを合わせています。
この水晶体の機能はカメラでいうオートフォーカスのようなもので、自在にピントを合わせることができます。
しかし見るものが近すぎると、いくら水晶体を変化させても網膜上の画像がピンボケになってしまいます。
写真撮影する場合、写すものが近すぎるとシャッターが切れないため、ピントが合う距離までカメラを移動させますが、私たちの体はもっと驚異的な方法でピント合わせに対応しようとします。

それが眼軸、つまり眼球をフットボールのような形に長く延ばして、近くが見えるように調整する方法。
伸びた眼軸で遠くを見ると、景色がぼやけて見えます。これを眼軸近視といいます。

成長期の子供は特に注意!

眼軸近視は発見されにくく、通常の視力検査では眼軸が伸びているかまではわかりません。
成人の眼軸の長さは24㎜ほど。これが0.5~1㎜程度伸びただけでも近視になり、2㎜、3㎜伸びると「強度近視」と呼ばれる状態になります。
人によってはもっと伸び、通常のメガネやコンタクトでは矯正できないだけでなく、眼球と網膜が伸びたことで緑内障や網膜剥離、近視性黄斑変性といった失明リスクのある眼病を起こす可能性があります。
しかも一度眼軸が伸びると今の医療では二度と戻せません。

眼軸は体が成長する24歳くらいまで伸びるため、子供の頃に近視になると、視力の低下に拍車がかかります。
近視の進行が子供の成長期に大きく影響されるのであれば、いかに発症を遅らせるかが重要になってくるといえます。

近視パンデミック!その②に続きます。

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