コラム

睡眠不足とアルツハイマー型認知症

 日本人の睡眠時間は世界で最も短いといわれているのをご存知ですか。忙しい毎日の中で睡眠をおろそかにしてしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。睡眠不足が蓄積することを 「睡眠負債」といいます。睡眠が不足すると日中のパフォーマンスが低下し、体調不良や生活習慣病のリスクが高まるだけでなく、アルツハイマー型認知症の引き金になることがわかってきました。
認知症の全体の7割を占めるアルツハイマー型認知症は、たんぱく質の「アミロイドβ」が脳内にたまり神経細胞を破壊して脳を萎縮させる病気です。発症すると記憶障害がおこり理解力や判断力が低下、身体の機能を失っていきます。進行は治療薬で緩やかにすることはできますが、死滅してしまった神経細胞は元にもどりません。老廃物=アミロイドβは睡眠時に排出されるので、体内にため込まないためにも睡眠をとることが大きなカギを握っているのです。

睡眠負債になっていませんか?
チェックしてみましょう。
□ 寝床についてもなかなか寝付けない
□ 夜中に何度も目が覚める
□ 目覚めがスッキリしない
□ 日中にウトウトする
□ 記憶力が低下してきた
□ イライラしやすい

この中で3つ以上あてはまる場合は睡眠不足で疲れがたまっている状態です。睡眠効率が悪い人は最大で5倍以上も初期のアルツハイマー型認知症にかかるリスクがあると、アメリカのワシントン大学の研究でも発表されています。

◆睡眠時間が長ければよいの?
図は睡眠の深さの推移をあらわしたもの。ぐっすり眠れたと感じられるのはAとBどちらでしょうか。

正解はA。深い睡眠を「ノンレム睡眠」、浅い睡眠を「レム睡眠」といいます。ノンレム睡眠時はカラダを修復するホルモンが分泌されます。中でも「深睡眠」時は最も多くホルモンを分泌し、脳を休息させ傷ついたカラダの細胞を修復します。この時間帯にカラダのおよそ8割が回復しますが眠りについてから4時間以内しかあらわれないため、健康維持のために睡眠時間を長くしたり寝だめをしても効果はありません。つまり深睡眠をとることが質の良い睡眠につながるのです。

睡眠の質をUP!12の方法
1 午前中に日光を浴びる
2 決まった時間に食事をする
3 定期的に運動をする
4 カフェイン摂取は就寝3時間前まで
5 深酒をしない
6 寝る前に入浴する
7 寝室の温度は18~26度に
8 寝床でのスマホは禁止
9 無理に寝ようとしない
10 寝るときは電気を消す
11 眠くなってから布団に入る
12 寝る前に発酵食品をお湯割りで飲む

日中ウトウトしてしまう人は午後に30分以内の昼寝がオススメです。決まった時間に行うことでアルツハイマー型認知症の予防につながる報告もありますので、ぜひ実践してみてくださいね。

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