コラム

近視パンデミック!その②

その①では、私たちの目に起こる近視、遠視の違いと、近視が発生するメカニズムについてお話しました。
②では私たちの目を取り巻く環境と、海外で行われた近視対策についてです。

近視予防のカギ「屋外活動」

世界的に近視が急増している原因の一つとして考えられているのはライフスタイルの急変です。
私たちの周りにはスマートフォンやゲーム、パソコンなどを間近で長時間、見続ける環境が多くなりました。
その結果、成長期の子供だけでなく、大人でも近視が進むと報告されています。

新型コロナ禍でテレワーク中はずっとパソコンのモニターを見続ける、外出自粛でゲームやスマホ依存のような生活をしていれば、近視はさらに悪化する可能性があるのです。
失明につながるさまざまな眼病のリスクを上げる近視。その発症を抑える研究が世界中で進んでいます。そのカギとなるのが「屋外活動」。
太陽の下で体を動かす屋外活動が目をはじめ心身に良く、健康的なのは想像できると思います。
実際、屋外にいる時間が長い子供は、近視を発症する率が低いことがわかっています。

そのカギを握っているのが太陽光。
1000ルクスを超える光を1日2時間以上浴びていると、近視が抑えられるとわかってきたのです。

近視対策で法改正!

近視を抑制する明るさ、1000ルクス以上は屋外ではないと実現できません。
日本同様、近視大国の台湾では2011年に法改正をおこなって小学生の屋外活動の時間を週に150分、行うことを義務化しました。

さらに教室内で行っていた他の授業も、観察や史跡を調べるといった方法を推奨して1日2時間以上、屋外にいることを目標に掲げたのです。
その結果、視力が低下していた小学生の割合が5ポイント以上減少、世界で初めて近視人口の減少に成功したのです。
台湾が行なった屋外活動を増やす取組みは、シンガポールをはじめアジアの一部の国でも、学校教育のカリキュラムに取り入れられています。

太陽光「バイオレットライト」

屋外活動の有効性については、日本の近視研究チームの鳥居秀成先生らが、太陽光に含まれる光線に近視の予防効果があると報告しています。
その光線が「バイオレットライト」といわれる可視光線。

紫外線に一番近い波長の紫の光で、これが目に入ると近視の進行を抑制する「EGR1」という遺伝子が活性されることがわかったのです。
太陽光は無限です。コロナ禍であっても日焼け対策を行って散歩、ベランダや庭に出るなどの屋外活動を増やし、近視予防に努めましょう。

バイオレットライトを有効活用する4ポイント

①直射日光は避ける
光は反射するため、木陰や日傘の下でも効果があります。
また、最近ではブルーライトをカットして、バイオレットライトを透過するサングラスなどもあります。※絶対に直接太陽を見ないように!
②曇りでも効果あり!
曇っていても屋外では5000〜35000ルクス程度あり、バイオレットライトの恩恵は受けられます。曇天の日こそ日中は屋外に出ましょう。
③日中に外へ出よう
夕日のオレンジの光にはバイオレットライトは含まれていませんので、活動するなら日中がお勧めです。

④屋内にいるときは窓を開けよう!
最近のUVカットガラスはバイオレットライトも遮断してしまうため、窓を開けて太陽光を取り入れましょう。

大人でもスマホなどの影響で眼軸が伸び、近視が強くなると失明のリスクが高まります。さらに視力や視界が損なわれると認知症やうつ病、動脈硬化などの病の引き金になるといわれています。
いつまでもクリアな視界を保てるよう心掛けることが、健康長寿につながるといえるでしょう。

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