コラム

痛みを放置していませんか。膵炎の治療法とは

急性膵炎は重症化すると命にかかわるため、早急な治療が必要です。みぞおちに激痛が生じたときは膵炎の可能性を考え、医療機関を受診しましょう。とくに「胃炎かな」と思って胃薬を飲んでも効果がない場合、その可能性はさらに高くなります。急性膵炎を繰り返すと慢性膵炎に移行します。

 

見落とすと命の危険につながる「急性膵炎」


慢性膵炎は、初期の段階(代償期)では、膵臓が時間をかけて少しずつ自己消化されていきます。 膵臓の溶けた部分は再生されず、代わりに線維組織に置き換えられ膵臓自体が硬くなっていきます。
すると膵液の分泌も不十分になり、食物が十分に消化できなくなります。 病状が進行する(進行期)と痛みも感じなくなり、さらに悪化する(非代償期)と膵臓の働きが失われます。
こうなると分解されない脂肪が便として排出されるため、白っぽい脂肪便が出たり体重が減少したりします。 またインスリンが分泌されにくいため、糖尿病を発症することがあります。ここまでに5~10年かかります。【図1】

膵炎の治療法とは

【急性膵炎】
入院治療になります。膵臓を安静に保つために絶食し、水分や栄養分、蛋白分解酵素阻害薬などを点滴します。 軽度なら1週間程度で退院できますが、重症の場合は長期の入院になることもあります。 退院後は再発を防ぐため「禁酒・禁煙」、「脂肪分を極力抑えた食事をする」など、生活習慣の改善が重要になります。

【慢性膵炎】
慢性膵炎はどの段階か、または症状がどのようなものかによって治療法が異なります。
初期段階は鎮痛剤のほかに蛋白分解酵素阻害薬を投与します。あわせて禁酒や禁煙、脂肪分を抑える食事など生活習慣の改善を行います。
飲酒や喫煙を、ストレス解消のためと止められない人がいます。お酒もタバコも膵臓にとって危険因子であることは明白です。とにかく止めましょう。


膵炎は早期発見がカギ、初期であれば進行を食い止めることが可能です。「みぞおちの痛み」に注意し、急性膵炎の段階で治してしまうことが大切です。しかし自覚症状がない急性膵炎を繰り返して慢性膵炎になるケースもあります。
この場合は健康診断や人間ドックなどで行う血液検査の「アミラーゼ」の値を見ましょう。基準値より高い場合は必ず精密検査を受診してください。 精密検査は、腹部レントゲンや超音波検査、CTやMRIなどを実施します。

慢性膵炎から膵臓がんになる確率

慢性膵炎になると、膵臓がんのリスクが11.8倍も高くなります。遺伝的要素や、糖尿病も危険因子になりますので、健診・早期発見が重要です。
膵臓がんの検査は、血液検査で膵酵素や腫瘍マーカーをチェック後、異常があればMRI胆管・胆管膵管撮影などを行います。 治療法は合併症の有無や進行状況、がんの位置や性質、大きさなどによって決まります。可能であれば手術が最も効果的ですが、切除できない場合は放射線や抗がん剤治療を行います。


膵臓がんは、現時点では難治性がんですが、世界中で新しい治療法や早期発見の方法が研究されています。近い将来、早期発見・初期段階の治療が可能になるでしょう。
また近年の研究で、エラグ酸をはじめさまざまな抗酸化成分が、膵炎による痛みの緩和や組織の線維化の抑制に働くことがわかってきました。サプリメントのようなものではなく野菜や果物などから栄養を摂るようにしましょう。

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