コラム

④酵素は熱に弱い? 生だと吸収できる?

「生酵素」?「非加熱」
カプセルや顆粒の酵素サプリメントを販売している会社の宣伝を見ると、

1. 酵素ドリンクは、法律で定められた熱処理を加えているので酵素が死んでいるから、効果がない。
2. 加熱しない酵素サプリを摂れば、酵素を体に吸収できるので、体内の不足した酵素を補える。

と説明していますね。これをみると、ほんとうに悲しくなります・・・。

以前書かせていただいた①「発酵と酵素の関係?」②「植物発酵エキスを、なぜ「酵素」と呼ぶの?」をお読みでない方は、先にそちらをご覧下さいね。

では、改めまして。
1の、熱を加えると酵素は壊れてしまうのは、部分的に正しいのですが、
それは、消化(分解)酵素や代謝酵素、いわゆるエンザイム(酵素)のことです。

そもそも植物発酵エキス(=酵素飲料)とは、発酵菌の消化(分解)酵素や代謝酵素の力を利用してできた『発酵菌生産物質』のことで、手間も価値も異なる別物です。

彼らが言う、熱を加えたら酵素(エンザイム)は死ぬので、熱処理を加えた液体の酵素ドリンクは体に効かない、というのは、発酵菌生産物質が何たるかを知らないか、あるいは都合よく解釈したか、とにかくヘンテコな理屈です。

エンザイム(酵素)は吸収できるの?

2でいう消化(分解)酵素や代謝酵素などのエンザイムは、食べたらどうなるのでしょう。

そもそもエンザイムは生きているのもではなく、アミノ酸が連なったたんぱく質です。

胃に入れば、胃酸=強酸性の塩酸 (pH 1~2) でたんぱく質を変性させ、ペプシンというたんぱく質消化酵素で分解されるので、口からエンザイム(酵素)を摂っても、アミノ酸に分解されるだけなのです。アミノ酸を摂るのなら、肉・魚・大豆で十分ですよね。

仮に、胃酸もペプシンも出なかったとすると、今度はエンザイム(酵素)そのものの形では腸から吸収されません。
私たちから言わせれば「生の酵素(エンザイム)だから、体に吸収できる」という事自体、訳がわかりません(笑)。

もちろん、三共胃腸薬のような消化酵素(タカヂアスターゼやリパーゼ)、あるいは大根おろしやパパイヤを食べるのであれば、その消化酵素でデンプンや脂、たんぱく質などによる胃もたれ防止にはなりますね。

 

「野菜も肉も魚も火を通すと酵素が死ぬから駄目だ」という理論は、記憶から捨ててください(笑)。
つねに魚も肉も生、野菜も生のサラダで酵素を補っていたつもりであれば、身体は癒されません。人は、火を使って進化してきたのですから、煮て焼いて蒸してと、食材は美味しくいただきましょう !

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