コラム

⑤人の「潜在酵素」は限られている?

多くの酵素販売会社のWeb広告やブログを見ると、「人の潜在酵素は限られており、年齢とともに減り、酵素が尽きると人は死を招く。人の死は、体内の酵素が尽きた時だ」と説明。

返す刀で、
「酵素を補うため、酵素が生きている生肉や生野菜を摂らないといけない」と畳み掛け、日頃、生食ばかり食べられないでしょ!と煽り、だから「酵素」の健康食品・サプリメントを摂らないと大変なことになりますよ、という結論に導きます。
はっきり言いまして、ウソ脅しです。

では、軽い反論を(笑)。
口にする動物や魚の肉は、死んだものです。
はて? 刺身であっても、死んでいれば酵素が尽きているのでは?? 摂取しても意味がないのでは??
彼らはなんと答えるのでしょう。

よしんば、火を通していない物を生とします。そこにある酵素(エンザイム)は、食べれば分解されて、単にアミノ酸になるだけです。
※詳しくは、④酵素は熱に弱い?生だと吸収できる? ⇦をご参照ください。

簡単に理屈が崩壊するような「潜在酵素」の話や非加熱が良いとする理論は、科学とは言えず、空想です。

でもこれ、エドワード・ハウエルという人が独自の理論(これを「酵素栄養学」と命名)を打ち立てて、1946年に専門書を、その後に一般向けの本を出版しました。
2009年にも日本で出版されたようですが、まだこんなものが売られているんですね。

この絵空事を、酵素を販売する多くの会社が語っています。
「健康的に生きていくためにも、体内の酵素の消耗を防ぐことに加え、食事から補うことで体内酵素を節約する習慣が必要」だとか、
「人間が一生のうちに作り出せる潜在酵素の量には限りがあるということがわかってきました。潜在酵素を消費しない生活を送ることが大切なのです」など、悲しく情けない酵素の説明があります。

しかも、数人の医師や一部の栄養士さんまでそう語り、堂々と本まで出している人がいます。非科学的理論を利用して酵素を語ってはならず、ましてや本や商品を扱ってはならないように思うのですが…。

わたしたちの体が作り出す酵素(エンザイム)は、DNAに記録された遺伝子により、体内にあるいろいろな種類のアミノ酸を組み合わせて「こんな酵素を作れ」と指令されてできるものです。決して、潜在酵素なるものが、限られているわけではありませんし、口から酵素(エンザイム)を補給できるなんてことは、決してありません!

日頃の食事は、バランスよく摂りましょう。くれぐれナマモノじゃないと駄目、と取り憑かれませぬように(笑)。

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