昨今の日本ではイタリアンに中華、エスニック料理など、色々な国の料理を楽しめるようになりました。海外旅行に行かなくても気軽に様々なメニューを味わえるのは、食事の楽しみにもつながりますね。しかし、食生活の多様化とは裏腹に、自分好みの食事ばかり食べてしまうという方もいるのではないでしょうか。
最新の研究によると、食生活によって腸内フローラ(腸内細菌バランス)のタイプが異なり、このタイプによって健康リスクに違いがあることが分かりました。
今回は、腸内フローラの日本人に多い5つのタイプとその特徴、病気のリスクについても解説していきます。
日本人の腸内フローラには5つのタイプが!さて、あなたは何タイプ?
日本人1800人の便を解析し、腸内フローラ(腸内細菌のバランス)をタイプ別に分類した結果、5つのグループに分けられました。食生活の多様化による食習慣の違いは、腸内細菌のバランスにも影響しています。
生活習慣病などのリスクにも大きな差があることが分かりました。ぜひ、あなたの食習慣を振り返って、腸内フローラのタイプを確認してみてください。
健康的な人の腸内フローラのタイプとは?病気のリスクが高いのは?
健康的な人でもっとも多かったのが35.8%を占めたEタイプ。日ごろから食物繊維を多く摂っており健康への意識が高い人であることが伺えました。
つづいて健康な人に多かったBタイプは26.6%を占めました。炭水化物・タンパク質・をバランスよく取り入れ、腸内にいる細菌の種類が豊富で、脂肪の吸収を抑える菌や、炎症を抑える酪酸を産生する菌などが多く見られたのが特長です。
どちらのタイプも健康を意識した食生活を心がけている人がほとんどでしたが、EタイプとBタイプの人たちの食習慣が異なるのと同様に、腸内細菌の種類やバランスも違う結果となっています。
一方で、肉を多く食べるAタイプ、丼やラーメンなど炭水化物中心の食事が多いCタイプ、ハンバーガーやピザなどのファストフードや甘いものに目のないDタイプの人たちは、腸内細菌のバランスが悪く、糖尿病や心血管疾患など病気のリスクが上がっていることが分かりました。
腸の不調が全身の病を招く
偏った食事は腸内細菌のバランスを乱す原因です。腸にいる様々な細菌の中には、動脈硬化を促す物質を産生し病気のリスクを高めるものや、反対に腎臓の保護や免疫力を向上させる成分を作り出す細菌などがいて、臓・腎臓の健康と密接に関わっています。
また、腸には体を守る免疫細胞が約7割集まっているため、腸の働きが悪くなると免疫力も低下し、体中のさまざまな病気を引き起こすことが明らかになってきました。
加えて、腸内環境が乱れると腸壁が薄くなり、本来なら腸で吸収されない有害物質が体内に侵入しやすくなる「リーキーガット症候群」になってしまう恐れも…。体内に吸収された有毒物質は肝臓で解毒されますが、腸のバリアがなくなると肝臓に負担がかかり、肝臓の炎症や肝がんを引き起こすリスクも高まります。
腸内細菌のバランスは日頃の食事で変えられる
A・C・Dのタイプに当てはまる人でも、腸内環境を整える食事を意識することで、腸内環境は改善することが可能です。反対に、腸内環境がよいBとEタイプの人でも、食生活が乱れてしまうと腸内のバランスが崩れてしまいます。
肉や脂質を控えめにして、魚や豆などに加え、水溶性食物繊維が豊富な根菜類や海藻類をしっかり食べるように意識してみましょう。また、スイーツが好きな人は、お砂糖たっぷりのお菓子の代りに、抗酸化成分と食物繊維が豊富な旬の果物をデザートやおやつで取り入れてみるのもおすすめですよ。
腸内の環境を整える食事は、コラム「健康になる食べ合わせ」で解説していますので、気になる方は、ぜひ合わせて読んでみてはいかがでしょうか。
また、「レシピ&薬膳」内では、さまざまな体調の変化に合う旬の食材を生かしたレシピを多数紹介しています。ぜひ、ご覧くださいね。
こんにちは、健康管理士・腸内環境管理士の中谷です。三姉妹の母で、毎日にぎやかに過ごしています。楽しみは美味しいお酒と観葉植物を育てること。美酒を作る発酵の力と、植物が持つ癒しのパワーを日々実感中です。植物で大切なのは根っこですが、人間にとっての根っこは腸。腸にまつわるお話や、健やかに過ごすヒントなどをお届けします。ぜひ、ご一読いただければ幸いです。