コラム

聴力を保つための健康習慣を取り入れよう

突然、耳が聞こえなくなってしまう原因は、前編でお知らせしましたね。では、誰でも発症する恐れがある難聴を防ぐためには、どうしたらよいのか紐解いていきましょう。

《目次》                            
1 .あなたの耳の状態は
2. 問診からわかること
3 .聞こえにくいってどんな感じ?
4.難聴が認知症の原因にも
5.音量に注意しよう
6.抗酸化成分が改善の鍵
7.聞こえづらい方へ配慮すべきこと

難聴は認知症の原因にも

加齢による聴力の低下は40代から始まります。60歳前後で急激に進行しますが、初期症状に気がつかない方がほとんどといわれています。耳から音の情報が入らなくなると脳の機能が低下し、萎縮したり神経細胞が衰退し認知症の原因になることが明らかになっています。実際2020年に行われた国際アルツハイマー病会議で、「後天性の難聴は認知症の最も大きな危険因子である」と指摘さました。

聞くことはコミュニケーションをとるために大切なもの。聴力が衰えると聞き間違いや相手の言葉を何度も聞き返すことが多くなり、会話が困難になる孤立感から、うつ状態になることもあるのです。
聴覚からの情報が減ると、生活音の感知にも影響を及ぼします。背後から車や自転車が近づいても聞こえないためビックリして転倒する、災害などに気づくのが遅れるといったリスクも高まります。

音量に注意しよう

加齢性難聴にはさまざまな要因が隠れています。日頃から聴覚の維持を心がけるにはどうしたらよいでしょうか。
「音響外傷」に気をつけましょう。
テレビのボリュームが大きすぎると、早期に難聴になる恐れがあります。最近のテレビが推奨する最適の視聴距離は、画面の高さの3〜4倍程度。見る位置から聞こえにくい場合は置き場所を変更してみるのも方法です。
またヘッドホンの使いすぎは耳のストレスを増加させる原因です。内耳の有毛細胞が破壊されてしまうイヤホン難聴の若者が増えています。周囲に音が漏れている場合は注意してあげましょう。また大きな音にさらされる職場などでは、耳栓を使用して耳を守りましょう。

抗酸化成分が改善の鍵

騒音にふれると私たちの内耳では大量の活性酸素が発生し、音を脳に伝える有毛細胞を破壊・壊死させます。
若い頃は体内で産生される抗酸化酵素の働きで細胞の死滅を防いでいましたが、高齢になると酵素の分泌量が減ってしまうため有毛細胞は減少していきます。
そこで重要なのが日頃の抗酸化成分の摂取。大音量にさらされる米軍では、兵士に抗酸化成分を実際に服用させて難聴の発症抑制・症状改善の試験を行っており、良好な結果を得ています。ただし抗酸化成分のうちどんな組み合わせが良いのかは分かっていません。多彩な成分の摂取に勝るものはなさそうです。

聞こえづらい方へ配慮すべきこと

最後に、聴力の老化(加齢性難聴)は耳と脳の老化で発症します。有毛細胞がいちど壊れてしまうと、残念ながら耳の老化は現代の医学では再生できません。難聴で悩んでいる人に気がついたときは、ちょっとした配慮でコミュニケーションが取りやすくなりますよ。
①向かい合ってゆっくり話す。
表情や口の形が会話のヒントになります。

②表情を確認しながら声の大きさを調節する。
中耳炎や鼓膜の異常による伝音難聴は声の大きさで聞きやすくなりますが、聴覚神経の障害で発症する感音難聴では逆効果になることもあります。

③声をかける時は肩を軽く叩いて合図をしたり、見える位置に立つようにする。
気が付かないことがありますので、合図をして見える位置から声をかけましょう。

④視覚的に理解できるものを併用する。
筆談や身振り、表情などいろいろな方法を試しましょう。

⑤聞こえやすい場所など、環境に配慮する。
人込みなどは避け、静かな場所で話すようにしましょう。

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