コラム

いつもの薬と紫外線が痒みの原因になる「症状」をご存知ですか?

日焼けしたわけでもないのに日に当たったところが痛い、痒い、腫れてきた。原因がよくわからない…そのような経験をしたことはありませんか?
もしかしたらそれは、薬剤と太陽光によって引き起こされた免疫反応の一つ、『光線過敏症』かもしれません。
今回は身近な薬で引き起こされるけど、以外と知られていない光と薬剤との関係についてお話しします。

紫外線がスイッチとなる薬剤のアレルギー反応!

一般的な「日焼け」と異なり、「光線過敏症」は、普段問題のない紫外線量に敏感に反応し、ポツポツとした紅斑、水疱、丘疹、色素沈着、じんましんといった痒みや痛みを伴った炎症を引き起こします。
(松渓自身の症状の画像があるのですが、ちょいグロく、ボツボツが苦手な私は見るに耐えられないので割愛します!!)
主な原因は、服用した薬で起きる『薬剤性光線過敏症』で、その他には遺伝性、代謝異常、アレルギー性などがあります。

発症の原因は主に2つ

【光毒性反応】
塗り薬や貼り薬などの外用薬が原因で起こります。
塗布、貼付部位に日光が当たると薬剤が光化学反応を起こし、直接または活性酸素を介して皮膚に症状があらわれます。
【光アレルギー性反応】
薬を服用後に日が当たった皮膚に発疹ができます。今まで問題なかった薬剤でも急に発症することもあります。
私たちの身体が持つ免疫系が関与しており、光が当たると体内で薬の構造が変化してたんぱく質と結合し、通常5分〜1時間ほどでアレルギー反応が現れますが、時には数日~2週間や半年以上あとに発症することもあります。


また、光が当たっていない部分に症状が拡大することもあります。
光毒性、光アレルギー性の両反応とも、皮膚のかゆみや紅斑といった日焼けに似た症状があり、進行すると浮腫や水疱を伴います。

あなたのお薬・外用薬は大丈夫?

光線過敏症の原因となる薬剤はさまざまで、湿布薬でよく処方されるモーラステープや塗り薬のボルタレンゲル、血圧降下薬のノルバスク(アムロジン)、抗生物質のアモキシシリン、クラビットによるものが多く報告されています。
じつは松渓もこの症状の経験者。
処方してもらったアジスロマイシンという抗生物質が原因でした。服用後、何も気にせず真夏の日差しのもとで農作業をしていたところ、日に当たっていた顔と首がブツブツとみるみる腫れ上がり、猛烈な痒みに襲われました。

今まで何度も飲んでいた薬でしたので、問題ないだろうと思ったのが大失敗!
幸い、すぐに室内に入り痒い部分を冷やし安静にしていたところ、1日で症状は落ち着きましたがちょっと驚きました。
その後、薬の情報を調べたところ、しっかりと「光線過敏症に注意」と書かれてあったのです。。。。
また薬剤だけでなく果物、野菜、海産物でも引き起こされる場合があります。
江戸時代に広まった『猫はアワビを食べると耳が落ちる』という諺があり、アワビによる光線過敏症を比喩的に言い表しています。

ちなみにこの諺は本当で、アワビを食べた猫は、光線過敏症を発症して耳を掻きむしり、壊死してしまうことがあるようです。

検査できるの?

光線過敏症かどうか調べる方法は2種類あり、原因となる波長や物質の特定を行う検査です。
いずれも6000円ほどで受けられます。
【光線照射テスト】
紫外線A・Bや可視光線を背中やお腹の皮膚に直接照射して、 皮膚炎の有無を確認するものです。
【光パッチテスト】
原因と思われる薬剤を皮膚の2ヵ所に塗り、光を当てた側と当てない側で皮膚炎の有無を確認します。光線過敏症型薬疹の原因物質を特定できます。

光線過敏症になってしまったら

薬剤が原因と分かった場合は使用を中止し、1週間は患部に日光が当らないよう遮光します。症状が出ている箇所に紫外線が当たると悪化する場合がありますので、ガラス越しの光にも注意が必要です。
肌の状態が落ち着いても1〜2週間は紫外線から患部を守り、様子をみましょう。先述の通り光線過敏症は数ヶ月から半年後に症状が出ることがあるからです。

通常、かゆみなどは30分〜1時間ほどで収まりますが、症状が激しい場合は患部を氷や保冷剤で冷やし、薬に詳しい薬剤師に相談しましょう。
その際、お薬手帳を忘れず持参し、『◯◯を飲んでから症状が現れた』と伝え、処方される薬剤の変更をお願いしてみてください。

一部ですが下表に光線過敏症の原因になる薬剤、野菜、果物、海産物などをまとめましたので参考になさってください。

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