日本は高温多湿の風土。梅雨の時期は雨が降っていなくても湿度が80%をこえることも珍しくないそうです。
皮膚は外気をもっとも敏感に感じ取ります。暑いときは汗腺を開いて発汗し体温を下げ、寒いときは表皮を引き締めて体温を逃がさないように調整しています。
ところが、湿度が高くなると皮膚の新陳代謝が阻害されて、もろもろの障害がでやすくなります。まず、皮膚呼吸がうまくいかなくなり、なんとなく息苦しく感じたり、重苦しく感じるようになるのです。
そこで、この湿邪を除いて皮膚を守るためにはどんな方法があるでしょうか。
除湿の方法として、エアコンを上手に利用するのもよいですが、体表の湿邪を発汗作用によって除く香味や辛味の食材と、利尿作用がある食材で排出するのがおすすめです。
利尿作用が高い食材はハトムギ、小豆、冬瓜、蓮の実などです。ハトムギは体内の余分な水分を排出してむくみを除きます。また栄養価が高く、飲み続ければ肌を美しくするため、【飲む化粧水】と讃えられてきました。ほかにも胃腸を温め寒気を発散し、痰を除いて胃の冷えによる嘔吐を止める働きもあるのです。
そして冬瓜には、体内の余分な熱を冷まし、すぐれた利尿作用でむくみの解消にも役立ちます。腎臓病、膀胱炎を改善。食べごたえがあるのに低カロリーなのも嬉しいところ。
そしてなにより、発酵食品は健康と美肌の源。お腹の調子を整えて、食物の栄養をスムーズに吸収できるようにします。美肌への最短ルートは腸内環境を整えること。発酵食品や腸が喜ぶ食事を続けていると、いつのまにか美肌へ生まれかわるのです。
冬瓜と手羽元の美肌スープ
【材料】(2人分)
鶏手羽元 4本
冬瓜 1/4個
生姜 15g
クコの実 3g
オクラ 2本
塩 少々
酒 大さじ1
水 600cc
【作り方】
①冬瓜は種とワタを取り除き薄めに皮を剥き、生姜は薄切りにしておきましょう。
②鍋に水と鶏手羽元、切った冬瓜と生姜、酒を入れて、弱火でじっくりと火にかけます。
③20分ほど煮込んだら、塩とクコの実、切ったオクラを入れて、さらに5分ほど煮込んで出来上がりです。
『冬の瓜』と書く冬瓜は漢字から連想して冬の食材と思われがちですが、収穫時期は6~9月のこれからです。冬瓜の豊富なカリウムでむくみの解消にも役立ちますし、ビタミンCも含んでいるので肌の健康管理や風邪などの抵抗力も高めてくれますよ。冬瓜は部位ごとに効能がわかれており、皮は「冬瓜皮(とうがんひ)」と呼ばれ、実よりも強い利尿作用で生薬としても使われているほど。スープで削いだ皮はきんぴらにすると美味しく食べられます。
「東京薬膳研究所」代表。本場中国で薬膳を学び、帰国後は日本の気候風土に合った薬膳理論を研究。和食薬膳・食養研究の第一人者である。『食は薬なり』を全国へ広めるため、執筆活動のかたわら各地で講演を行い活躍中。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)などがある。