コラム

売り渡される食の安全①

子どもの尿から除草剤が検出

お子さんの尿から除草剤の成分が検出された! じつにセンセーショナルなニュースが全米を駆け巡りました。

その子は、腸の粘膜に小さな穴が開くリーキーガット症候群を発症。医師は、その原因は除草剤であると診断を下しました。しかも、その穴から入り込んでしまった菌が、脳神経の炎症を引き起こしたのです。

問題となったのは、モンサント社(現バイエル社)の「ラウンドアップ」という有名な除草剤。その主成分が「グリホサート」という成分です。

その後の調査で、80%を超える米国人の尿からグリホサートが検出されました。

日本でも有害物質が検出

外国のことだと、タカをくくってはいけません。

日本でもラウンドアップは使われており、グリホサートが日本の子供たちの尿から検出されていると、名古屋大が数年にわたる調査結果を発表。

最初の頃は人に影響を与えない程度の少ない検出量であったのが、年々その検出量は増えているというのです。

小麦はパンやパスタ、お菓子の原料なので、日々口にします。

アメリカでは、雨季が来て収穫直前の小麦が腐って駄目にならないよう、除草剤で枯らすためにラウンドアップを散布。有害物質であるグリホサートが小麦の芯まで浸透していたのです。

その後、アメリカでは小麦を枯らす目的でラウンドアップを使用しないよう規制されましたが、それはあくまで米国内に流通する分。日本向けに輸出するものには規制がないそうです。

つまり、現在も有害物質グリホサートで曝露された小麦が、日本に輸入されているというのです。

グリホサートの毒性

モンサント社は、グリホサートは「毒性が低い」と宣伝していますが、発がん性、神経毒性、生殖や出産への影響など懸念されています。

グリホサートは本来、植物が細胞内でアミノ酸(栄養)を作り出す経路をブロックすることで、除草効果を発揮し枯らしますが、私たちの腸内にも同様にアミノ酸を作り出す経路をもつ腸内細菌が存在します。

そのため、それら腸内細菌が効力を失うと、さまざまなアレルギーや自己免疫疾患などの原因になると指摘されています。

遺伝子組み換えによるリスクは?

遺伝子組み換えは、遺伝子を取り出し、別の生物の遺伝子を人為的に組み込むことです。

農業で使う除草剤、草だけを枯らすなら良いのですが、作物も枯らしてしまうと農家は困ります。そこで除草剤に耐性のある作物を作れたらいいなと思うわけです。

除草剤「ラウンドアップ」を販売するモンサント社は、その工場の排水溝で、元気に生きている微生物を発見。
そこで、この微生物の遺伝子を取り出し、なんと植物である大豆の遺伝子に組み込みました。
ついに、ラウンドアップに耐性を持つ大豆の開発に成功したのです。

モンサント社は、遺伝子組み換えをした大豆やトウモロコシ、小麦などを、除草剤と農薬、肥料の4点セットで販売し、莫大な利益を上げています。

そもそも遺伝子の組み換え技術は安全なのでしょうか。

人が遺伝子組み換えをした動植物の将来をコントロールできるかは全くの未知数であり、現状を考えれば、想像を超えた危険が生み出される恐れがあります。

実際09年には、アメリカ環境医学会が、多くの動物実験の根拠をもとに、遺伝子組み換え食品の即時出荷停止を求める緊急声明を発表しました。

「遺伝子組み換え食品と健康被害との間には、偶然を超えた関連性が示されている。特にアレルギーや免疫機能、妊娠や出産に関する生理学的、遺伝学的な分野で深刻な健康への脅威に至るものである」と、強い言葉で警告しています。

新しい技術を妄信せず、日々口にする食品であればこそ、できる限り自然由来のものを口にしていきたいものです。

 

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