コラム

朝食抜きと膵臓

前回の『朝食抜きは、痩せるの?』に続き、今回は朝食と膵臓の関係をお話ししていきます。

血糖と膵臓への負担

前回では、朝食を抜いて他の食事でドカ食いをすると太ってしまう。というお話でした。

では、日本人に多い2型糖尿病患者の場合はどうでしょう。比較試験での、「朝食をたっぷりと摂った場合」と、「軽い軽食を取った場合」の血糖値を見ていきましょう。

2020年2月に発表された論文は、1日の摂取カロリー量を同じにして、1日3食、高カロリーの朝食と低カロリーの夕食(朝型)と、その逆に、軽い朝食を食べ高カロリーの夕食(夜型)のパターンを比較した研究です。

つまり、1日のカロリーは同じで、朝型と夜型の比較です。

すると、下のグラフのような曲線になります。夜型は、血糖が非常に高くなるのが分かります。

また、血糖の変化を描いた曲線の下の面積を、「血糖曲線下面積」と呼び、これが大きいほど、血糖を下げようとインスリンを分泌するので、膵臓の負担が重くなります。

それを表したのが、右側の棒グラフです。朝たっぷり食べた方がその面積は少なく、膵臓に負担をかけないのです。

朝食を抜けば、その時間帯の血糖曲線下面積は、当然小さくなります。では、1食分を完全に抜いて、一日2食と3食で比較するとどうなるでしょう。

2型糖尿病患者に、朝・昼・夕を均等に計2103㌔㌍の日と、朝の一食分が少ない、昼・夕だけで1402㌔㌍だけの日を比較し、血糖の変化を調べました。

すると、上記のグラフのように、朝を抜いた方が1日の摂取量が701㌔㌍も少なかったにもかかわらず、昼と夜の血糖がグーンとかなり高くなってしまいます。

さらに見ていただくと分かるように、血糖曲線下面積の合計も大きくなり、昼には並んで、夜には抜き去ってしまったのです。面積だけではなく、昼と夜の血糖も非常に高くなり、膵臓への負担がかなり大きいことが分かります。

食品のGI値

GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指数です。ブドウ糖を摂った後の血糖上昇度を100としています。

ちなみに果糖は、30程度と低いですが、GI値が高い食材(炭水化物など)を食べると血糖値が急上昇し、GI値が低い食材(たんぱく質など)を食べると血糖値の上昇は緩やかになります。

急激な血糖の上昇は、糖尿病や肥満を呼び寄せるので、GI値の低目の食品を織り交ぜるのは賢い方法ですね。

食パン(95)や白米(88)はGI値が高いですが、玄米や麦、全粒粉のパンやパスタは50台ほどです。

炭水化物(糖)だけを摂るか、食物繊維・ファイトケミカルが含まれている炭水化物かで、こんなにも違ってきます。

また、肉や魚は、40台。果物は果糖が多いので、30~40台。豆類は20~30。野菜は、ニンジン(80)とかぼちゃ(65)は高いのですが、他は20~30です。これらをバランスよく摂ることが大切です。

折角の朝食をどうしようかなぁと思われたら、これらを参考にGIが高くならないよう、工夫して作ってくださいね。

炭水化物(糖)のブドウ糖は脳の重要な栄養ですので、避けるのではなく、どのような食品で摂るか、です。

朝食抜きは知能低下だけでなく、将来の認知症の原因になることも分かってきました。ましてやお酒が美味しいからと夜食だけの方は、くれぐれも注意が必要ですね!

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