昨年、猛暑での上手な過ごし方として夏の野菜を効能と一緒に紹介しましたね。
体の熱を冷ます夏野菜たちは、今年も大きく私を支えてくれています。
そのなかでも毎日のように食べていたのが【トマトと玉ネギのサラダ】です。
火も使わなくてよく、野菜を切って甘酢と和えるだけなのでとっても簡単。
朝からつくって残った分は晩まで冷蔵庫に。冷えたサラダで暑苦しい夜の睡眠導入もスムーズでした。
野菜は捨てるところがないといっても過言ではありません。
過剰な熱を冷まし、炎症を鎮めるナス、じつはヘタに高い効用が集中しています。【ナスのヘタの黒焼き】は、江戸時代では歯磨き粉として使用されていたり、歯痛や口内炎などの熱を持った炎症に民間薬として利用されてきました。現代医学でも紫色の色素成分に生活習慣病やがん予防効果があることがわかっています。自らの経験から有効を認識していた先人の方たちには驚きです。
ただ「茄子こそ味わい甘く 寒のもの冷えたる人は食すべからず」と「和歌食物本草」で詠まれています。ナスの性質をよく現している一首です。
数ある野菜のなかでも、とくに体を冷やす性質が強いため、冷え症や胃腸の弱い方は注意が必要ですね。
小さい頃は夏の間食として食べていたとうもろこし、大人になっても欠かせない夏の野菜です。
昔は塩を振っていただけのとうもろこしは、料理の腕が上がるとレパートリーを増やしたく、いろいろ作りたくなってしまいます。
ちょっと面倒な揚げ物は明るいうちに仕込みをして、夜にカラッと揚げるだけにしておくのがルーティンです。
塩茹でしたとうもろこしを食べられる分だけポキっと折って、それ以外は【とうもろこしコロッケ】の材料にまわします。合わせるジャガイモも利尿作用が高いので、いっそう水分代謝がアップします。
季節の野菜はレパートリーを増やして飽きをなくし、上手に体に摂りいれましょう。みなさんの体の不調を解決してくれます。
トマトと玉ネギのサラダ(4人分)
【材料】
トマト 2個
玉ネギ 1/2個
-甘酢-
酢 大さじ3
砂糖 大さじ1と1/2
塩 小さじ1/2
【作り方】
①トマトは縦6等分、さらに横半分にきります。
②玉ネギは薄切りにして、辛味が気になるようでしたら水にさらしておきましょう。
③ボウルに甘酢の材料を入れてよくまぜ、トマトと水気をとった玉ネギをいれて和えて完成です。和えてすぐに食べてもいいですが、冷蔵庫で寝かせてから食べると体の熱も下がってさらに美味しく召し上がれます。
ナスのヘタの黒焼き
【材料】
ナスのヘタ 20個程度
【作り方】
①ナスのヘタはあらかじめ天日に干してカラカラになるまで乾燥させておきます。
②乾燥させたヘタをアルミホイルで包む作業を3回繰り返します。このとき、空気が入ると黒焼きではなくただの焦げになってしまうので要注意です。空気が入らないようにキッチリと包みましょう。
③そのまま土鍋に入れて真っ黒になるまで焚きます。魚焼きグリルやオーブントースターを使うのもおすすめです。
④黒焼きになったヘタをすり鉢で細かくすれば完成です。適量の水と練って歯磨き粉として使用できます。
効用の高いナスのヘタの黒焼きは時間がすごくかかってしまうのが難点。現代ではすでに歯磨きペーストになっているものもありますが、もし購入するのであれば無添加の粉末タイプがいいです。
とうもろこしコロッケ(12個)
【材料】
とうもろこし(粒) 1本分
ジャガイモ 中3個
塩 小さ1/2
-衣-
小麦粉 適量
溶き卵 適量
パン粉 適量
【作り方】
①ジャガイモは串がスッと通るまで茹で、熱いうちに皮を剥いてつぶしておきます。
②とうもろこしの粒をとり、ジャガイモと塩と一緒に混ぜ合わせましょう。
③12等分に成形し、小麦粉を薄くつけ、卵にくぐらせてパン粉につけてから揚げます。こんがりきつね色になればできあがりです。
余ったコロッケのタネは味や食感にそれほど変化はないので冷凍してもよし。衣をつけてから冷凍し、揚げるときは電子レンジの解凍機能をつかいましょう。
「東京薬膳研究所」代表。本場中国で薬膳を学び、帰国後は日本の気候風土に合った薬膳理論を研究。和食薬膳・食養研究の第一人者である。『食は薬なり』を全国へ広めるため、執筆活動のかたわら各地で講演を行い活躍中。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)などがある。