コラム

高温多湿の季節は水虫に注意!

「これ、水虫かも?」と気づきながら、「命にかかわらないし、市販薬で大丈夫」とか「病院に行く時間が取れない」などと、そのままにしていませんか?
高温多湿の時季は、食中毒菌だけではなく水虫菌も活発に活動します。

水虫、その名の由来は?

水虫とは、むかし田んぼで作業したあとに足が痒くなったことから、「水の中の虫に刺されたもの」と考えて、名づけられたといわれています。
しかし、水虫というのはご存知の通り虫ではなく、カビが皮膚で増えて起こる病気です。このカビのことを「白癬菌(はくせんきん)」といい、いくつかの種類があります。

安住の地を求めて・・・

白癬菌は、ケラチンというタンパク質を栄養分として、皮膚の角質や爪、頭部、股間などで増殖します。
彼らは安住の地を求めて、そこに棲み着くために進化します。

皮膚のようにすぐ落ちてしまう環境では定住には向きませんので、白癬菌の最終目標は爪だろうと考えられています。
実際、水虫を再発している方の多くに爪白癬(つめはくせん)がみられ、日本人の10人に1人がかかっていると言われています。

白癬菌にも好みがある

白癬菌は棲み着く相手によってヒト好性菌(人間が好きな菌)、動物好性菌(動物が好きな菌)、土壌好性菌(土壌に棲みつく菌)の3つに分類されており、基本的に人につくのはヒト好性菌です。
水虫は人から人へというイメージがありますが、飼い猫や犬から感染する動物由来もあれば、土由来の場合もあります。

ヒト好性菌の感染なら顕微鏡だけで診断ができますが、動物由来や土由来の場合は、培養して菌を見定めないと判りません。

皮膚科で診察を受けるときは、ペットを飼っていることも必ず医師に伝えましょう。

24時間が感染の分かれ道

水虫の感染経路について、東京医科歯科大学の加藤卓朗先生が、健康な足の人が公衆浴場を歩いた後に、白癬菌の有無を確認する調査を行なっています。
温泉やお風呂屋さんの脱衣所で、足ふきマットや床を歩きまわると、白癬菌は簡単に付着します。

しかし、それで感染が成立するわけではありません。
菌が皮膚から角質層に侵入するまで24時間ほど。白癬菌は「ケラチナーゼ」という酵素で、角質層のケラチンを溶かし、それを栄養源としながらゆっくりと角質内に侵入、増殖します。
ケガや傷のない角質層なら、24時間内に石鹸できれいに洗い乾燥させれば、感染は防げます。

痒みは水虫と戦う生体反応

初感染の方は、痒くなりがちです。痒みは、治そうとする生体反応により起こるものですから、痒い水虫ほど治りやすいといえます。

また、間違った相手・・・、動物好性菌がヒトに感染した場合も排除機能が強く働き、通常の水虫より炎症が激しくなります。
でも寄生する彼ら本来の目的は「いかに気づかれず同居するかということ」。痒く無くなったら、白癬菌が完全に棲み付いたといえるのかもしれません。

感染しやすく悪化しやすい人

次に当てはまる方は、水虫に罹りやすく、悪化させやすい傾向があります。
①足の指が太く、指同士が接触している。
②汗をかきやすく、靴の中の湿度が高い。
③糖尿病による末梢の血行不良・感覚障害がある。
男女で水虫の感染しやすさに差はありませんが、同じ部屋にいても風邪をひく人とひかない人がいるように、夫の水虫が妻には感染せず、子供が発症するケースがあります。

これは夫婦間で遺伝子のタイプが異なり、白癬菌の好みが合わないためです。
同居する家族全員が水虫になるとは限りませんが、夫婦間では感染せずとも、お互いの遺伝子を受け継いだ子供を介し、進化した白癬菌が妻に伝染するケースもあります。

水虫にならないために

●少なくとも1日1回は足を石鹸でしっかり洗う。
●足が蒸れた状態を長時間続けない。靴下を履いたまま寝ない。
●靴やブーツは数足用意し、毎日順番に履き替え、こまめに干して乾燥させる。
●靴下は通気性のよい素材を選び清潔を保つ。
●ストッキングも長時間、身につけないようにする。
●軽石やナイロンタオルでゴシゴシ洗うと角質が傷つき、白癬菌が侵入し易くなるので注意!

糖尿病やガンなどで免疫力が落ちると、水虫の傷口から黄色ブドウ球菌やレンサ球菌が侵入し、敗血症や壊疽を起こして死に至る場合もあります。
先の項目以外にも、免疫力を落とさないために十分な睡眠をとる、ストレスを溜めない、バランスのとれた食事を3食とる、適度な運動を行うなど、日頃の健康状態を良好に保つよう心掛けることも大切です。

 

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