一年を通して、日本にはたくさんの【行事】がありますね。季節ごとの行事やお祝いの日に食べる特別な料理を【行事食】といい、家族の幸せや健康を願う意味が込められています。
2月の行事で定着している節分、本来は「季節を分ける」ことも意味しているので、各季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日のことをいいます。江戸時代以降はとくに立春(毎年2月4日ごろ)の前日を指す場合が多くなりました。
お子様のいる家庭では「鬼は外、福は内」と賑やかな声を出しながら福豆(煎り大豆)を撒いて、年齢の数(もしくは一つ多く)豆を食べる厄払いを行なうところも多いと思います。
古い時代では魚や鳥、他の肉類の動物性食品は一般的にハレの日のものでした。日常でもタンパク質の給源は主として大豆です。一概に大豆製品といっても真っ白な豆腐や納豆ばかりではありません。庶民の食生活にはかかせなかった貴重なタンパク源なので、食事を飽きさせない先人の知恵がたくさん詰まった料理がいっぱいあります。
大豆製品の代表格豆腐
大豆製品としてもっとも利用され、植物性タンパク質に富む栄養食品の重要なひとつです。
ダイエット中の方は必見豆腐飯
豆腐はさいの目切りにして茹でる、揚げる、味をつけるなどがありますが、いずれもすまし汁と薬味でいただく優しい味で低カロリーな大豆食です。
ちょっと豪華に伊勢豆腐
すり下ろした山芋に1/3くらいの鯛のすり身をと豆腐、卵白などを加えてすり混ぜ、布で包み茹でて葛餡や敷味噌でいただく料理。手間はかかりますが、これまた絶品です。
お酒のあてに今出川豆腐
焼き豆腐の煮物。煮汁には昆布、かつお節、酒などを加え弱火でよく煮てから醤油で調味します。召し上がるときには少量のわさびをつけて、日本酒は必須ですね。
子どもにも人気ふわふわ豆腐
豆腐に卵、またはすりおろした山芋をすり混ぜ沸騰した煮汁に入れてサッと煮ます。するとみるみるフワフワに。膨れあがる姿は子供も喜ぶ可愛い姿です。優しい味は風邪をこじらせそうなときにもオススメ。
香川県もびっくり?!うどん豆腐
豆腐を紙に薄く塗りつけて蒸し、水に浸けて紙からはがし、うどんのように細く切ったもの。平や茶碗物に用い、湯豆腐のようにもする。
食べるプロテインこおり豆腐
現在でいう高野豆腐。豆腐を厳寒期の夜に戸外で凍結させ、これを解凍し乾燥をさせて作っていましたが、現在は大部分工業的に凍結乾燥させて作られています。一度凍らせた豆腐にはギュッと栄養が詰まり、まさに食べるプロテインです。
動物ではなく植物から摂るタンパク質、昔の人がいかに健康であったか。その教えに従い、健康を願って行事食を召し上がりましょう。
「東京薬膳研究所」代表。本場中国で薬膳を学び、帰国後は日本の気候風土に合った薬膳理論を研究。和食薬膳・食養研究の第一人者である。『食は薬なり』を全国へ広めるため、執筆活動のかたわら各地で講演を行い活躍中。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)などがある。