コラム

一人で悩まないで! 便失禁は誰にも起こる病気です。その2

500万人以上が悩んでいる便失禁。松渓も若い頃に経験、その後に克服した経験があります。
今回は一人で悩まないために、何科を受診するべきなのか、そして治療に役立つ食事、運動療法についてお話しいたします。

便失禁、何科を受診すればいいの?

便失禁で悩む人は、排泄のことなので誰にも相談できず悩んだり、何科を受診するのかわからない人が多いようです。私の場合、手術をしたのが総合病院の大腸肛門科でしたので、術後は医師に相談できました。
しかし、原因となる病気がわからず便失禁を起こしたら、私も受診をためらったと思います。便失禁が気になる場合、大腸肛門科や消化器内科、女性の場合は、婦人科などの医師に相談しましょう。
なお、2017年に日本大腸肛門病学会が「便失禁診療ガイドライン」を発表し、専門医でなくても適切な治療ができるようになりましたので、かかりつけの内科医に相談するのも良いでしょう。
病院では次の質問をされることが多いので、あらかじめメモしておくと便利です。

治療の第一は食事から!

便の元となるのは食事です。積極的に摂りたい食材、治療期間中は避けたいものがあり、見直すことで劇的に改善することもあります。
積極的に摂りたいのは、大麦や玄米などの穀類、さつま芋、ごぼう、にんじん、小松菜、大豆、豆腐などに多く含まれている不溶性食物繊維です。便を硬めにする効果があります。
便失禁は便が緩いと漏れやすくなりますので、普段のメニューに取り入れましょう。またお米のデンプンも便をまとめる働きがあるので、できれば1日2食は米食にするのがお勧めです。
逆に避けたいのがコーヒーや紅茶などに含まれるカフェイン、アルコール、柑橘系の果物、香辛料の多い食品。
これらは腸の動きを活発にし、下痢を起こしやすくします。また主食となるパンや麺類などの小麦製品も便を緩くする作用があるので、摂りすぎに注意しましょう。
入れ歯が合わない高齢者は、食べ物を上手く噛めず、消化不良から軟便をおこすことがあります。これらは調理時に食材を柔らかく煮る、野菜などの繊維を細かく断ち切る、隠し包丁を入れるなどの工夫で改善できますので試してみてください。
また、若い人でも咀嚼回数が少ないと下痢気味になります。お腹が緩い人は、普段から良く噛んで食べるよう心がけましょう。

骨盤底筋運動で予防しよう

「骨盤底筋運動」で肛門の筋肉を鍛えると、便意を催してから我慢できる時間が長くなります。この運動は尿失禁の予防にも効果があります。
ちなみに私は食事内容の見直しと骨盤底筋運動を取り入れ、便失禁から卒業できました。

自分の体の中から出たもの

私に食事療法と運動法を教えてくれた大腸肛門科の医師は「筋肉は何歳になっても鍛えることができるよ。もし便が漏れたとしても気にない、自分の体の中から出たものは汚くないよ」と、よく励ましてくれました。
今回は自身の体験を踏まえ、お悩みの方の一助になればと思い、2回に分け特集させていただきました。

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