コラム

一人で悩まないで! 便失禁は誰にも起こる病気です。その1

500万人以上が悩まされている「便失禁」。
命に関わる病気ではありませんが、「トイレが間に合わない」「外出が不安になる」「気持ちが落ち込む」など、生活の質が著しく低下します。
じつは松渓も32歳のときに1年間、便失禁で悩んだ経験があります。

心にもダメージが大きい

便失禁とは、自分の意思に反して便が出てしまう状態をいいます。


65歳以上の男性で8.7%、女性で6.6%にみられる症状で、患者数は少ないように思われますが、多くの人が「恥ずかしい」と考え、治療を受けていないそうです。


多くの人を悩ませる便失禁は、症状から次の3種類に分類されます。

<切迫性(せっぱくせい)便失禁>
「トイレに行きたい」という便意を感じたとき、すでに漏れてしまっている、もしくはトイレまで我慢ができない。
漏れる!という切迫感を伴うため、「切迫性便失禁」と呼ばれています。
肛門をしめる力が弱っているために起こることが多く、約16%が、この「切迫性便失禁」と考えられています。
私、松渓が経験したのも、このタイプでした。
<漏出性(ろうしゅつせい)便失禁>
本人が知らないうちに便が漏れるため、肛門の違和感や、下着の汚れを見て初めて気づきます。
切迫感がなく無意識のうちに漏れてしまっているため、「漏出性便失禁」といわれています。
約49%が「漏出性便失禁」と考えられています。
<混合性(こんごうせい)便失禁>
漏出性便失禁と切迫性便失禁の両方の症状がみられ、原因が複雑に関連して発症することが知られています。
約35%が「混合性便失禁」と考えられています。

若者でも便が漏れる

便失禁を経験すると「外出先で漏れたらどうしよう」と不安になり、引き籠りがちになったり、外出しても「トイレがないと不安」というのがストレスになったりして、症状を悪化させることもあります。

また、仕事などで外出するときは、絶食して便が出ないように対処するといった人もいます。
高齢者の病気と思われがちですが、実際はそうでもありません。高齢者に多いのは事実ですが、30代でもみられます。(下表)。

原因は何だろう?

便失禁の原因は複数あり、年齢はその1つにすぎません。主な3つの原因は次の通りです。
①肛門括約筋の老化
誰もがなりうる原因です。肛門の筋力は加齢に伴って低下するため、締める力が弱くなり、気づかないうちに便が漏れやすくなります。
②肛門括約筋の損傷
出産、直腸や肛門の手術などによって肛門括約筋が損傷すると、便が漏れやすくなります。若い世代に多い原因です。
ちなみに私は直腸に腫瘍ができ、その手術の結果で切迫性便失禁を起こすようになったので、この②の項目に該当します。
③便通異常
便がゆるいと、肛門が正常でも漏れやすくなります。とくに過敏性腸症候群(IBS)で、下痢型の人は便失禁のリスクが高くなります。

次回は治療に役立つ食事、運動療法についてお話しいたします。

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