コラム

あなたは大丈夫?残暑疲れは帯状疱疹・ヘルペスにご用心 その2

前回は帯状疱疹とその仲間が引き起こす皮膚疾患について、発症原因と感染経路についてお話しいたしました。
今回は主な症状と後遺症についてお話しいたします。

こんな予兆を見逃さないで!

じつは帯状疱疹やⅠ、Ⅱ型を含むヘルペスウイルスは、一度感染すると人の神経節に潜伏し、終生棲みついて駆逐できない厄介者。つねに復活できる日を虎視眈々と狙っています。


潜伏していたウイルスは、加齢やストレス、疲労などで免疫力が低下すると活力を取り戻して発症、自らを増殖させます。
Ⅰ、Ⅱ型のヘルペスウイルス は、重症化はまれですが、帯状疱疹は命に関わることがありますので、次の予兆を見逃さないようにしましょう。

右記の症状が3日以上続いたら帯状疱疹を疑い、その場所に発疹が出ていたら、すぐ皮膚科を受診して抗ウイルス薬の治療を受けましょう。


帯状疱疹は発疹が現れて3日以内に治療できるかがポイントになります。「病院は明日でいいや」と先延ばしするのは厳禁。症状が長引くだけでなく、治療効果が十分に得られなくなります。
その結果、起こるのが「帯状疱疹後神経痛」や、さまざまな後遺症です。

突然発症、痛みが強い時は!

帯状疱疹は時に耐え難い痛みを伴うことがあります。痛みが強い場合は、患部を温めましょう。入浴などで血行を良くすると痛みが和らぎます。ただし、家族で水疱瘡にかかったことがない人がいる場合は、感染リスクを考えて入浴順は一番最後にしましょう。


痛いからといって、氷で冷やしたりすると血行が悪化して痛みが酷くなります。応急処置の基本として、急性期の痛みは「冷やす」と学んだ人もいるかと思います。しかし、帯状疱疹には当てはまりませんので注意が必要です。

帯状疱疹後神経痛(PHN

帯状疱疹の痛みは皮膚症状とともに消えますが、「焼ける」ような痛みや、「ズキズキ」する疼痛が残ることがあります。
これを帯状疱疹後神経痛といいます。
病院では帯状疱疹後、3ヶ月痛みが継続する場合、この後遺症に移行したと診断されます。薬物療法や神経ブロックで治療をおこないますが、完治はなかなか困難です。
50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、約2割が帯状疱疹後神経痛になるといわれています。

失明や回復困難な合併症も

帯状疱疹が眼の近くで発症すると、角膜炎やぶどう膜炎などの合併症を起こし、視力低下や失明に至ることがあります。
耳に現れると難聴や耳鳴りなどのほかに、顔面神経麻痺の「ラムゼイ・ハント症候群」を引き起こすことがあります。
この症候群は世界的な歌手のジャスティン・ビーバーさんが罹り、まぶたが閉じなくなったと公表して話題になりました。
マッサージやビタミン療法、手術などが施されますが、回復には時間がかかります。
さらに注意が必要なのは脳血管障害です。帯状疱疹の発症後、1年以内に脳梗塞を起こすリスクは頭部で1.3倍になります。ところが眼の周辺に発症したほうが脳梗塞のリスクは4〜5倍も高いのです。
なぜなら、ウイルスは目の周辺からのほうが、脳血管に侵入しやすいからです。

帯状疱疹の予防には

日常の予防でもっとも大切なことは、免疫力を低下させないこと。
私たちの免疫の7割は腸が支えています。日頃からビフィズス菌や発酵食品を摂取して腸内環境を整えたり、炎症に対抗する抗酸化成分を摂るようにしましょう。
糖尿病などの持病のある方は、食事など自己管理をしっかり行うのが予防の鍵です。
なお、50歳以上の方の場合は、予防のためのワクチン接種が可能です。自治体によっては補助金を出しているところもありますので、確認するとよいでしょう。

 

 

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