原因がわからないけど、全身に強い痛みが走る線維筋痛症。部位は移動することがありますが、途切れることがなく一年中、常に悩まされ続けるのが、この病気のイヤな特徴といえます。
今回は、前回に引き続き、芸能人でも悩んでいる人が多く、松渓の母も発症した線維筋痛症のお話です。
歳をとるとそんなもんですよ。。。
さて、松渓は痛がる母を連れ、日頃かかっている整形外科で診てもらうことにしました。その日は残念ながらいつもの先生がおらず、たまたま居た!当番医の先生に診て貰ったのですが、「いやぁ歳のせいですよ。ある程度年齢がいくとね、そんなもんなんです。レントゲンを撮っても骨に異常はないし、気になるようであれば安定剤を出しましょうか?」
「歳のせい」…医師にとって、こんな便利な言葉はないですね。
実際、痛みに苛まれている患者さんの中には、医師や周囲の人から「歳のせい」「気にしすぎ」「あれは仮病」だと正しく理解してもらえず、悩んでいる人が多くいます。
適切な治療を受けられないまま放置されてしまったり、初期の症状から自律神経失調症や更年期障害といった、別の病気として誤診されたりすることもあるのです。
線維筋痛症は痛みが出現している部位にその原因はありません。近年の研究で痛みを脳に伝える神経やシステムが、「痛みの刺激」が無いのにも関わらず、過剰に反応する「知覚過敏」を起こしていることがわかってきました。
症状が進行すると・・・
線維筋痛症は、直接生命に関わる病気ではありません。しかし痛みをはじめとするさまざまな症状のために、日常生活や日々の活動で支障をきたすことがあります。
症状の重症度は図①の5段階に分類されます。中高年の女性の日常は、子育てや仕事、家事さらに介護など、本人が思っている以上に体へ負担をかけています。痛みや不調があっても我慢している人も多く、専門医の診断の結果、じつはステージ2と3の中間だったという人もいます。
つらくても弱音を吐かず真面目に一生懸命がんばる。ストレスを我慢している女性こそ、注意が必要です。
なかなかとれない痛みや不調は、体からのSOSと考え、早めに対策をとりましょう。
何科を受診?痛みは軽減する?
線維筋痛症は、心療内科やリウマチ科、整形外科で診てもらうことができます。
痛みや随伴症状には、神経障害性疼痛緩和薬や抗うつ剤などの対症療法による薬が処方されます。ちなみに一般的に使われているロキソニンやボルタレンといった非ステロイド系鎮痛剤は線維筋痛症の痛みには、効果がありません。
慢性痛があり、これらの薬を飲んでも痛みが軽減しない人や、自律神経失調症や更年期障害と診断され、出された薬の効果が無い人は、線維筋痛症の可能性について医師に相談してみましょう。
西洋医学での対症療法・投薬では限界があり、次の療法も行われ、改善が見られているようです。
◆運動療法◆
私たちの体はストレスを感じると体内にカテコールアミンという物質が分泌され、「イライラ感」や「不安感」といった精神状態をもたらします。
このカテコールアミンは、ウォーキングやヨガ、ラジオ体操といった有酸素運動で代謝・消去されることが分かっています。
軽く体を動かしストレスを発散することは、線維筋痛症の予防に役立つだけでなく、患者さんの痛みが大幅に軽減し、睡眠障害も改善したとの報告もあります。
疲労感や痛みがあるからといって、長期間安静にしていても疼痛は軽減しません。専門医に相談の上、無理のない範囲で運動してみましょう。
ちなみに松溪の母は、投薬治療とともに毎日ウォーキングをすることで、だいぶ痛みが軽減したと話しています。
◆認知行動療法◆
認知行動療法とは、物事の受け取り方や考え方に働きかけ、気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種です。
痛みに囚われがちな考え方を、客観的でより良い方向へ修正し、ストレスに対応できる状態へ導いたり、不調にあえぎ、うつ状態の心のケアを行います。
◆温熱療法・植物の摂取◆
温水シャワーや温水プール、入浴、ホットタオルなどで痛む箇所を温めたり、鍼灸による治療も効果があります。
食生活では腸内環境を整える植物発酵食品や様々なポリフェノール類の積極摂取、そして野菜中心の食事は全身の痛みの改善につながるという研究結果があります。
おわりに
心をも蝕む線維筋痛症に限らず、病気に悩む人は話を聞いてくれる人がいるだけで救われます。劇的に改善することもあります。
痛みや不安のため上手く伝えられなかったり、何度も同じ話を繰り返すかもしれませんが、ぜひ訴えに耳を傾けてください。
一番の特効薬はあなたや家族です。
健康管理士の松渓(マッケイ)と申します! 若い頃はスキー三昧の日々を送っていましたが大ケガをして引退。そこから健康のありがたみに目覚めました。皆さまの日々の暮らしに「ちょっと役立つ」情報を随時発信していきますので、参考にしていただければ幸いです。
残念ながら、25年ほど健康関連の業界に身をおく私からすると、世にあふれる健康情報の中には「?」と首をかしげたくなる内容も。そのため、つい辛辣な言葉もでてしまうことがあると思いますが、どうかご容赦くださいませ。