コラム

茶碗一杯の全粒穀物で健康に!

全粒穀物。日本ではあまり広まっていないですね。でも諸外国の食の指針では、全粒穀物を摂るよう勧めているのはなぜでしょう。

もみ殻を取り除いたものが玄米で、さらに糠まで取り除いたものが白米です。精米も精麦もたっぷり詰まった栄養を捨ててしまい、もったいないですね。

以前、全粒穀物は血糖値に良いというお話をしましたが、じつはそれだけではありません。

なんと全粒穀物を1日あたり65㌘(玄米ならお茶碗一杯)だけ食べれば、食べていない人と比べて心筋梗塞と脳卒中の発症がおよそ2割、がんによる死亡が1割、糖尿病の発症が3割、そして総死亡率が15%程下がるのです。

全粒穀物を食べている人ほど、体重が増えないというお話も、理由は全粒穀物に豊富な食物繊維があるからでしたね。

全粒穀物による生活習慣病の予防効果は、食物繊維による肥満予防と、全粒穀物に含まれる他の栄養素(ファイトケミカル)の相乗効果によるものです。

食の傾向も変化

味によるものか、各個人の意識の問題か、全粒穀物の摂取量が多い人ほど果物、魚介類、野菜の摂取量が多くなる傾向があります。

これは心筋梗塞や脳卒中といった循環器疾患を予防することにつながります。

欧米では全粒穀物の摂取を強く勧めており、エビデンスから見ても、非常に理にかなったことなのです。でも、白米離れが米離れになるのを懸念し農家を守るためなのか、農水省も厚労省も全粒穀物については触れていません。

胃がんを避けるために

昔は不治の病と言われた胃がんも、早期発見・早期治療の普及・啓発によって、治せる病気になってきています。1960年をピークに死亡率は現在、4割を切るようになりました。

胃がんの原因がピロリ菌という事は知られていますが、100%ではありません。ピロリ菌がいない人の胃がん発症率は、ピロリ菌を保有する人の3分の1から半分程度です。

つまり、ピロリ菌以外に、別の原因があると言うことです。

胃がんと食塩の関係

図は45歳~74歳までの77,500人を7.7年にわたり追跡し、食事習慣と胃がんの発症率を調べた研究結果です。

不思議なことに、味噌汁から摂取した食塩量や、調理や卓上で使う食塩が多くても図のように横這いで、胃がんの発症率との関連は認められませんでした。

そして、食事から摂取した総食塩の量が増えても、胃がんは増えないのです。

対照的に、漬物、たらこ、すじこ、塩蔵魚などの塩辛いものを多く摂取した人は、胃がんの発症率が高かったのです。

実は、塩辛い食品の食塩に胃壁がさらされると、胃の粘膜が傷つけられてしまいます。すると、発がん性物質に触れやすくなるので、がんの発症率が上がると言われています。

つまり、食塩濃度の高い食品は控えればよいという事ですね。

1960年に冷蔵庫の保有率はわずか1割でしたが、その後10年で9割に達しました。胃がんの死亡率の減少と冷蔵庫の保有率の増加には関係があるのかもしれません。

冷蔵庫の普及→塩蔵保存の必要性の低下→高食塩食品摂取量の減少→胃がん発症率の低下(→死亡率の低下)の流れでしょうか。

そうであれば、胃がんの減少に最も貢献したのは電気屋さんかもしれませんね。妊婦さんにお勧めと言われるビタミン豊富なぬか漬も、冷蔵庫で保管すれば、塩の量も3分の2程度で済みます。

さらに総食塩の摂取量が問題となる高血圧のことを考えれば、塩辛い食品を避け、塩を体外に出す働きがある全粒穀物、例えば玄米食にすれば一石二鳥ですね!

でも、漬物や塩辛などが大好きな人はどうしたらよいのでしょう・・・。次回お話しします!

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