コラム

夏、赤いプツプツのあせも・ヒリヒリの汗かぶれに悩まされていませんか?

夏の季語でもある「あせも」。
赤ちゃんや子供によくみられる症状ですが、近年は猛暑の影響で中高年にも多く発症するようになりました。
何もケアしないでいると肌荒れを引き起こし、感染症など重症化することも。
今回はあせもの注意点や対処法をお話しします。

あせもって何?

汗は、血液から赤血球などを取り除いた黄色い液体の血漿から生成されます。この汗は汗腺から分泌され、汗管を通る過程でミネラル分などが再吸収され、若干の塩分と電解質を含んだ水として皮膚の汗孔から排出されます。
汗は蒸発することで熱を奪い、体温の上昇を防ぎます。しかし、大量の汗をかいたままにしていると、汗中の塩分や付着した埃が原因で汗管や汗孔が詰まり、汗が皮膚内に留まって炎症を引き起こします。これが「あせも」として知られています。
医学的には、この発疹を「汗疹」と呼びます。多くの人が夏に発生するものと考えがちですが、実際には季節を問わず発生することがあります。

男性では首回りや脇の下、女性では胸やお尻などにできやすいです。(下図)これらの箇所は皮膚が重なり合う、衣類が密着するため汗が乾きにくい部位になります。

あせもは床ずれの原因にもなります。長時間布団に接している、同じ姿勢で座っているときは注意が必要です。

あせもにはなんと!3つも種類があります

ブツブツができただけ、痒みがあるなど、あせもには汗管がつまる深さによって3種類に分けられます。

浅い所にできる【水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)】

皮膚の外側にある角質層で汗管が詰まると発生します。
汗孔にそってポツポツと直径数ミリの透明な水ぶくれが現れます。名前の通り光に当たると水晶の様にキラキラし、汗が輝いているように見えます。痒みや炎症はありません。
多くの場合、数日で水ぶくれが乾燥して自然に治ります。

中ほどにできる【紅色汗疹(こうしょくかんしん)】

表皮の少し深い部分で汗管が詰まると発生します。一般的にあせもといえば、この紅色汗疹をさします。
表皮内に溜まった汗が原因で炎症が起き、熱感のある痒みや赤みのあるブツブツが生じます。掻き崩してしまうと湿疹が広がり、膿を発生させることあります。
乳幼児や肥満の人、汗かきの人に多く見られます。

深い所にできる【深在性汗疹(しんざいせいかんしん)】

紅色汗疹よりさらに深い、真皮内で詰まったときに発生します。
紅色汗疹を繰り返すと起こりやすく、発疹部分に痛みを伴うことがあります。あせもの中では最も重症で、汗を上手く排出できないために熱中症のリスクが上がります。

 

最近よく耳にする、あせもの仲間「汗かぶれ」にも注意

「汗かぶれ」とは、あせもと同様に汗が原因で痒みが生じる症状です。
この症状は、汗をかいた後に水分が蒸発し、肌や衣類に残った塩分やアンモニアなどが刺激となって炎症が起こります。
あせもとは異なり、汗かぶれはブツブツができるわけではありません。代わりに、汗をかいた広い範囲に赤みや痒み、そしてヒリヒリとした痛みが現れます。


あせもや汗かぶれが悪化すると

伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)
いわゆる「とびひ」のことです。
紅色汗疹を掻き崩した傷に黄色ブドウ球菌が感染して化膿を起こします。赤い水疱が潰れると、細菌を含んだ内容物が患部の周囲などに「飛び火」して、新たな水疱となります。他人に移りますので注意が必要です。
多発性汗腺膿瘍(たはつせいかんせんのうしょう)
乳児や子供によく見られます。
あせもに引き続いて生じる「あせものより」と呼ばれる膿と痛みをともなったおできです。頭、顔、背中、お尻などに発症しやすく、重症化すると切開して膿を排出する治療を行うこともあります。

予防するには?

①通気性を考えて 
酷暑の中、外出する際は麻などの通気性の良い素材の服や速乾性の下着を選び、着替えを用意しましょう。
屋外で作業をしているときに首にタオルを掛けている人を見かけます。これは通気性が遮断され、タオルに付着した汗の成分が皮膚と擦れ合うので、あせもだけでなく、汗かぶれの原因にもなりますのでやめましょう。
同様に長い髪の毛は結んだり、素肌に密着する指輪やネックレスは外しましょう。

②肌を清潔に保つ
あせもの発生を防ぐには「汗をかきっぱなしにしないこと」が重要です。
肌を清潔に保つためにも汗をかいたらこまめに拭き取りましょう。
その際、乾いたタオルでは水分だけ吸って老廃物が皮膚上に残ってしまうので、ウェットティッシュや清潔な濡れタオルで優しく拭き取るようにします。
可能であればシャワーや流水で洗い流すとより効果的です。


③肌に優しい入浴を
ナイロンタオルやスポンジなどでゴシゴシ洗うのはNG。
石鹸の使用は1日1回にとどめます。洗い過ぎはお肌の潤い成分まで落としてしまい、あせもだけでなく乾燥肌など他の皮膚トラブルの原因になります。
体を洗う際は泡立てネットなどで泡を作り、手でやさしく包むようにして汚れを落とします。背中など手の届かない箇所は、柔らかい綿や絹のタオルがおすすめです。
入浴後はすぐにさらっとした水溶性の保湿ローションを使い、肌を乾燥から防ぐとあせもができにくくなります。


④高温多湿を避ける
日差しの強い日中は外出を控えましょう。
室内ではエアコンを活用して涼しい環境をつくり、汗をかかないようにします。省エネで冷房機器を使わないという家庭もあると思いますが、室温が30℃を超えるときは熱中症予防もかねてエアコンを利用してください。

あせもができてしまったら

熱い湯船は避ける
湯船に浸かると発汗が促され、患部が悪化する場合がありますのでシャワーにしましょう。入浴後はタオルをポンポンと体に押し当てて拭きます。ベビーパウダーなどは汗の出口を詰まらせますので、あせもができているときは使用しないように!


痒くても掻かない
松渓の原稿ではお馴染みになりました、痒いときは冷す!
掻くと「とびひ」を起こしやすくなりますし、跡が残ることもあります。痒みは冷やすと収まりますので、保冷材などを上手に使ってください。


食生活の注意が必要
辛い食べ物やアルコールは痒みを助長させるので、ほどほどに。

最後に

あせもは皮膚を清潔に保っていれば水晶様汗疹で1日~数日、紅色汗疹も1週間ほどで治ります。
数日たっても良くならない場合や市販薬を使って悪化してしまったときは、他の皮膚病の可能性があります。自分で判断をせずに皮膚科を受診しましょう。

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