コラム

③甘さの秘密

上記は、756年に亡くなった聖武天皇の四十九日に光明皇后が、奈良の東大寺に納めた『種々薬帳(しゅじゅやくちょう)』といわれるものです。後ろから3列目に蔗糖(しょとう)という文字が見えますね。
ここには、蔗糖とともに献納した60種類の薬物名と、その数量および質量など記載されています。

巻末に「病に苦しんでいる人のために必要に応じて薬物を用い、服せば万病ことごとく除かれ、千苦すべてが救われ、夭折(ようせつ・・・若くして死ぬこと)することがないように願う」といった慈悲深い光明皇后の願いが記されてあり、病人を救うために役立てられたそうです。

蔗糖は人々を救うはずが、どうしてこんなに嫌われてしまったの?

日本ではお砂糖を敵視する傾向がありますが、もともとは鑑真和尚が日本に薬として持ち込んだものです。疫病や飢饉のときなど衰弱した際の大切な栄養素でした。ブドウ糖は脳に必須の栄養素と言われ、不足すると意識障害を起こすので、現在も点滴に使われています。

赤道に近い南国には、お砂糖を「これでもか!」というほど使ったお菓子がたくさんあります。私も食べたことがあるのですが、どれもこれもとんでもなく甘くて口には合いませんでした。

けれども暑い国ではカロリー消費が激しいので、生命を維持するために脳が「お砂糖が必要だ」と命じ、口も身体も美味と感じるのでしょう。
南国に行った際に甘いものを我慢すると、痩せる前に倒れてしまいます。郷に入れば郷に従え、ですね。

南国とは違い日本は、体力を消耗する季節が少なく、仕事はデスクワークで運動をしないことがほとんどなので、カロリー消費はとても少ないですね。
それなのに「誘惑に負けろ!」と言わんばかりに、所狭しとお菓子やケーキ、炭酸飲料がスーパーやコンビニなど周りにあふれています。

売れているという事は、甘いものを大量に摂取しているという事。みなさん、それほど自覚はないと思いますが、それはそれで大問題です。要は日本人は糖の摂り過ぎですね。
ん?わたし? はい、口が寂しいもので(^^;

昨今テレビを観ていると、果物はただひたすら糖度の高いものが評価される傾向ですね。スーパーでもそれぞれの果物に糖度が書かれています。
私が子供のころは今ほど果物は甘くなく、トマトは酸っぱいのが当たり前でした。ところが最近はネギまで甘いですから…。健康のための食材選びですら、糖の摂り過ぎになってしまうのかもしれません。

「薬も過ぎれば毒となる」というように、糖や油も摂り過ぎは良くないし、摂らないのも問題です。「ほどほど」が大切ですね。

発酵菌は糖が大好物

植物発酵エキス=『酵素』は甘い、だから太りそうだし血糖値も上がりそう・・それなら飲みたくないという方もときどきいらっしゃいます。確かにそうであれば心配ですね。これについては、後述しますね。

蔗糖・黒糖・オリゴ糖を言歩木でも使いますが、発酵過程で菌の食事として用いられ、低分子のグルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、そして一部がソンビトールやマンニトールになり、お砂糖自体は消えてしまいます。(お砂糖の状態で残っていれば、発酵がしっかりできていないことでもあります)

菌は、人と同じように何種類も酵素を持っている

発酵菌は生き物ですから、人と同じように食べ物を消化するための消化酵素を持っています。発酵菌の酵素が行う分解とは、たんぱく質を低分子のアミノ酸にしたり、澱粉やお砂糖をブドウ糖や果糖の低分子にしたりします。もちろん、菌自らが生きるためです。

例えば酵母菌。お砂糖を食べて分解しブドウ糖と果糖にします。空気があるところでは元気がよくなって、分裂して仲間を増やします。逆に空気が少ないと、糖をアルコールに変えたり、ビタミンB群や、アミノ酸、有機酸、ホルモンを作ったりします。

植物由来の乳酸菌は、酵母菌が分解してくれた果糖が大好きで、ビタミンCや外敵から守り腸内環境も整えたりする乳酸や酢酸、そして生理活性物質なども作り出します。

植物発酵エキス=酵素は、人にとって有難い大切な成分・物質が入った飲料です。蔗糖があるからこそ、酵母菌や乳酸菌が働いてくれて、わたしたちの身体に有益な代謝産物を作れるのです。

先述の、酵素は甘いから太る・血糖が上がるから嫌だ、というご意見があり、言歩木はヒト臨床試験を行いました。
すると、3~4ヶ月間ほど酵素と同程度のカロリーを摂取した群(プラセボ)は、ヘモグロビンA1c(平均血糖値)は上がりましたが、弊社の醗酵酵素を飲んだ群は、血糖値に変化がありませんでした! その理由は、糖単体の成分でないからです。後日、ファイトケミカルのお話のなかでお伝えします。

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