辛いモノが食欲をそそる夏!
食べ物に唐辛子を山のようにかけて平気な人、みなさんの周りにもいませんか?
激辛ブームの影響か、最近では色々なお店で激辛メニューを目にしますし、若者の中には「マイ七味」、「マイタバスコ」を持ち歩く人も。
しかし辛いものの摂り過ぎは、身体に重大な影響を及ぼすようです。
辛さの基準「スコヴィル値」
一般的に辛さは、唐辛子に含まれる辛味物質「カプサイシン」の割合を測定した「スコヴィル」という単位で表します。
家庭で見かけるタバスコのスコヴィル値が2〜5千、日本一辛いといわれている黄金唐辛子が8~12万。
激辛ブームで注目されたハバネロは30万スコヴィルといわれています。
そして世界で一番スコヴィル値が高いといわれているのが「キャロライナ・リーパー」と呼ばれる唐辛子。
なんと300万スコヴィルもあります。市販されている最も強力な催涙スプレーのスコヴィル値が18万なので、催涙スプレーの17倍も辛いということになりますね。
食道に3センチの穴が開いた事例も?
いくら辛いものが好きといっても、激辛ばかり食べていると身体に悪いのは言うまでもありありません。
カプサイシンの刺激は味ではなく痛み。舌だけではなく、ノドや気管支、そして食道から肛門にいたる消化管全体に影響を及ぼします。
実際、辛い物を食べた翌日、お尻が痛かった経験はありませんか?
あれもカプサイシンが肛門を刺激しているために起こります。
海外の事例ですが、超激辛ハンバーガーを食べた男性が激しく嘔吐し始め、強烈な腹痛に見舞われ救急搬送、診断の結果は「突発性食道破裂」という衝撃の事実も。食道に3㎝もの穴が開き、3週間以上も入院することになったそうです。
摂りすぎると脳がパニックに
カプサイシンの刺激は交感神経に働きかけ、ストレスと闘うアドレナリンの分泌を活発にします。
しかし過剰に分泌すると脳内の感情を司る扁桃体や、記憶に関係する海馬という部分が損傷され、パニック障害やウツ、睡眠障害など精神疾患の原因になると指摘されています。激辛の摂り過ぎは要注意。
また、カプサイシンの発汗作用により、体脂肪を燃やすとダイエット効果をうたっているサプリメントがありますが、国立健康・栄養研究所の報告によると、科学的に証明するデータは無いとのこと。痩せた方は胃を悪くして細くなったのかもしれません。ダイエットのために唐辛子を食べていた方、今すぐやめましょう!!
心臓発作の薬になる可能性も
食べ過ぎると健康を損なう唐辛子のカプサイシンですが、この刺激が心臓発作の死亡率を大幅に下げると、アメリカのシンシナティ大学で研究が進められています。
心臓発作を起こしたマウスの胸の皮膚に、カプサイシン入りの軟膏を塗ったところ、皮膚の知覚神経が活発化し、心臓細胞の死滅を食い止めたそうです。
ただし蕁麻疹や皮膚炎を起こすこともあるので、安易な使用はお控え下さい。
「唐辛子の辛さ」を鎮めるには
唐辛子系の辛い食べ物を口にした時、お水!と考えがちですが、これは効果なし!
「カプサイシン」は油に溶ける性質を持っているため、水では辛さを洗い流すことはできません。
効果的なのが牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品です。
その理由は、乳製品に含まれるたんぱく質「カゼイン」がカプサイシンと結びついて、辛味成分を弱めてくれるからです。
もちろんこれはあくまでも常識的範囲の辛さに使える方法。激辛の食べ物には歯が立ちませんので悪しからず。
何事もほどほどに
唐辛子は本来、食材の風味を引き立て食欲を増進させますが、使い過ぎれば料理を台無しにします。
激辛好きな人は味覚障害の方も多く、その状態に気付きませんし、さらには胃腸障害など健康にも悪影響を及ぼします。唐辛子はあくまで適量で、本来の食事の味を楽しんだ方が良さそうですね。
健康管理士の松渓(マッケイ)と申します! 若い頃はスキー三昧の日々を送っていましたが大ケガをして引退。そこから健康のありがたみに目覚めました。皆さまの日々の暮らしに「ちょっと役立つ」情報を随時発信していきますので、参考にしていただければ幸いです。
残念ながら、25年ほど健康関連の業界に身をおく私からすると、世にあふれる健康情報の中には「?」と首をかしげたくなる内容も。そのため、つい辛辣な言葉もでてしまうことがあると思いますが、どうかご容赦くださいませ。