今回は脳と運動の関係性についてのお話です。
そもそも、この研究が進んだのは、MRI(磁気共鳴画像)で、脳の中を見ることができるようになったのがきっかけです。
脳の若さを保つためには、食事・運動・学習が必要ですが、運動のすばらしさは想像以上でした。
子供たちの場合
太り過ぎの生徒は米国平均が30%です。イリノイ州の学校が、ある体育プログラムを取り入れたところ、生徒たちを米国一健康にして、肥満も3%に抑えることが出来ました。さらに、学業面でも国内有数の成績へと変身させました。
著名な研究者達は、児童は1日に1時間、あるいはそれ以上運動をするべきと勧告し、学業成績、集中力、記憶力、学習態度に良い影響があると結論づけています。
米国は日本よりはるかに貧富の差が激しく、高所得者層の子供のほうが成績が良いのですが、低所得者層の家庭であっても、運動をして健康を保つと成績が良くなることがわかりました。
つまり、運動によって貧困の連鎖を断ち切ることができたのです。
脳と運動のしくみ
人は動くように生まれついています。しかし、動くことの少なくなった現代の生活は、人間本来の性質を壊し、種の存続までもが根底から脅かされています。
動かない生活では、脳が縮んでしまいます。元来、祖先が食糧を見つけるときに頼った運動機能とともに脳が進化したので、体を動かさなければ、脳の機能が働きづらくなるわけです。
運動するからこそ、神経伝達物質、成長因子などが放出され、脳のニューロン(神経細胞)の枝が生長し、新芽がたくさん出てきて、脳の機能を根本から強化してくれるのです。
筋肉を動かすことで、インスリン様成長因子(IGF-1)や血管内皮成長因子(VEGF) などが作り出され、血流に乗って脳まで辿り着き、思考メカニズムの重要な役割を果たしてくれます。
運動によって、これらの成長因子が脳の体制を整えてくれるので、運動後に机に向かうと、脳に入ってくる刺激(情報)がニューロンの結合を強め、森に道ができるように回路が強くなり、脳機能が高まります。
神経伝達物質と同じく重要なのが、脳由来神経栄養因子(BDNF)というタンパク質で、海馬という記憶と学習にかかわる領域に多く存在し、ニューロン(神経細胞)の回路、つまり脳のインフラを構築し、成長を強化し、自然のプロセスである細胞の死から守っています。
BDNFは思考と感情、運動を生物学的に結び付けるうえで欠かせないもので、運動により、BDNFは急増します。また、不安を駆逐するために欠かせない因子でもあります。
もう一つ、体から脳へ運ばれる重要なものが、FGF-2(線維芽細胞成長因子)です。FGF-2は、細胞増殖、血管の新生、神経の栄養として幅広い機能を有し、脳ではニューロンの長期増強にとって重要な働きをします。
最後にうれしいお話です。60~79歳までを対象に、6ヶ月に亘って、週3回、1時間ずつランニングマシーンでトレーニングをしてもらいました。その間、無理がないよう徐々に心拍数をあげていきます。
すると驚くことに、前頭葉と側頭葉の皮質容積が増えたのです。
新たな血管、新たなニューロン、そして新たな回路ができたと推測され、老化に伴う細胞の衰えを逆行させたのです。
いつまでも若々しく、そして健康に過ごすため、脳と運動は切っても切れないの関係なのですね。
こんにちは!言歩木勤務歴10年のかみやまと申します★
管理健康栄養士などの資格を活用し、日々の健康に役立つ情報をみなさまにお届けできたらと思います。
健康的な生活を目指していますが現実は、よく食べよく呑みよく眠るです。。