コラム

身体と環境が一致しない病「ミスマッチ病」

がんや心筋梗塞、喘息や糖尿病、さらにはさまざまなアレルギー症状…。

こんな症状に悩まされていませんか?実は、これらは人類の進化と現代の生活環境の“食い違い”によって引き起こされる「ミスマッチ病」かもしれないのです。

あまり耳慣れない言葉ですが、これは進化医学の観点から見たときに生じる病。

現代医学は病気を治すために、その原因は感染なのか、栄養不足なのか、腫瘍なのかといったことで分類し、現れている症状にどう対処するのかを考えます。

対して進化医学は、進化生物学の視点から、生物がこれまで進化してきた環境条件、たとえば食事、身体活動、睡眠などの要素が、いまの生活環境と比較しどれほどにミスマッチであるかを問題視します。近年ではわたしたちの生活環境は目まぐるしく変化し、このミスマッチ病の患者数は年々増加しているそうです。

「ミスマッチ病」の原因とは?

ミスマッチ病を引き起こす大きな原因は、人類の進化によって600万年掛けて作られた身体と、現在の生活環境の間に大きなズレを生んでしまった事だといわれています。

長い間、狩猟採集生活を送っていた人類は、農業を中心とした生活へと移行したことがきっかけとなり、食べる物や生活様式が激変しました。その大きすぎる変化に人類の身体の適応が追い付かず、健康面でのさまざまな問題が生じるようになってしまったのです。

つまりミスマッチ病は、何かが「多すぎる」、「少なすぎる」、「新しすぎる」ということが原因とも言い換えることができるのではないでしょうか。

狩猟生活では1日に10km以上歩き回り、動物を捕獲していました。しかし、農業に移行した人々は定住を余儀なくされ、1日の運動量は劇的に減少。さらに現代では慢性的な運動不足を抱えています。また、食事の脂肪や糖質が多すぎたり、食物繊維が少なすぎたりと、「多すぎる」、「少なすぎる」というズレは益々広がり続けているのです。

「ミスマッチ病」の症状

ミスマッチ病の症状は多岐に渡ります。例えばがんや心筋梗塞、2型糖尿病、肝臓病。そして、喘息やアレルギー疾患、骨粗しょう症などの現代特有の慢性疾患もミスマッチによって引き起こされていると考えられています。

「身体のだるさや不調を感じ病院を受診したものの、原因がはっきりしなかった」という経験をしたことがある方も多いと思いますが、これもミスマッチ病の可能性があるのです。

現代医学の判断だけに囚われず、「人類の進化」という長い時間軸で考えてみることで、今身体のためにすべきことが自然と見えてくるかもしれませんね。

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