コラム

⑩人間と微生物は家族です!

普段の生活で意識はしませんが、私たちの身体、とくに腸内には多くの微生物がいます。それが腸内細菌です。
細菌というと、ネガティブなイメージを抱いてしまう方も多いかもしれません。もちろん、健康に害を及ぼす細菌も多少は存在します。でも、ほとんどは重要な役割を持った細菌たちです。つまり、私たち人間は、微生物と一緒に暮らし、健康を維持できているといっても過言ではありません。

腸内細菌はどんな役割を担っているの?

口から始まり胃や腸などで人間が消化することができるのは、でんぷん、たんぱく質、脂肪です。これって、わたしたちの消化酵素によるものですね。
それで十分なのでは? と思われるかもしれませんが、人が健康に生きていくにはその他に分解・吸収しなければならないものがたくさんあります。
それらを分解するのが腸内細菌です。

たとえば、食物繊維は胃や腸だけではなかなか消化しきれません。人類は常に食糧難に遭遇してきました。そこで、飢饉などで食べ物が不足したりすると、腸内細菌が食物繊維を糖に分解し、カロリーにしてくれたのです。

もちろん、食べ物が溢れている現代社会では、わざわざ食物繊維をカロリーにする必要はありません。むしろ余剰なカロリーとなり、肥満が助長される原因になるケースもあります。

太るなら、そんな腸内細菌はいらない!

そんなこと言わないでください(笑)。人類の恩人なのですから。腸内細菌にはヤセ菌といわれるものもいますので、ご安心を。
腸内細菌は、人間が体内で消化吸収することができない物質を代謝分解し、さまざまな分子を作り出して腸から吸収できるようにしてくれます。

腸に生息する細菌は500~1000種類、その数は100兆個にも及び、食べ物から数十万種の代謝物質を生成していると言われています。そして、それが血流に乗り、全血液の36~40%は微生物の代謝・分解によって作られた物質です。※『酵素ってなんだろう』の①発酵と酵素の関係?←参照してください。

女性ホルモンの再利用も腸内細菌のおかげ

そうそう、女性ホルモンも血管を通じ体の細胞を回り、消費されると、糖と結合し大きな分子となり大腸に排出されます。普通であれば、大便と一緒にそのまま排出される運命ですが、貴女の大腸にこの糖を分解する腸内細菌がいれば、分子を小さくしてくれるので、再び女性ホルモンを大腸から吸収して肝臓に移動、再利用することができます。貴女の健康と美しさを保つためにも、腸内細菌を見直してくださいね。

人間と細菌は共存してきた

細菌は長い歴史の中で、人の遺伝子と比較して100~360倍もの遺伝子を持つようになったとされています。結果として、多用な機能を手に入れ、ヒトの細胞と連絡を取り合い、わたしたちのために働いてくれているのです。

細菌側からすれば、ヒトから食べ物を与えてもらい、生きてきました。だからこそ、宿主であるヒトの嫌がることは避け、ヒトのためになるよう共存してきました。これが、私たち人間と細菌の歩んできた長い長い歴史です。

 

近年、新しい食品が数多く登場しました。人工甘味料や過剰な脂肪などがこれにあたります。人間が食べ慣れていないものが多量に腸内に入ってくると、腸内細菌も予想外。要らぬ物を産みだしてしまう可能性が高まります。それが身体に都合の悪いものである可能性があるのです。

そう考えると、急速に食生活を大きく変えてしまうことには、かなりのリスクがあることがわかります。
長い歴史の中で培ってきた食文化を見直すことが、健康的な生活に繋がるはずです。

評価をお願いします

最近の記事