あれ、玄関のカギ閉めたかしら?
日常のちょっとしたことが気になることは誰にでもあります。
ところが、不安が繰り返し思い浮かび、頭から離れなくなる。さらに、その不安を打ち消すために、同じ行動を何度も繰り返してしまうことも。これを強迫性障害(OCD)といいます。
今回は2回にわけ強迫性障害の症状と治療法についてお話しいたします。
誰もがなる可能性があります
強迫性障害(OCD)は、めずらしい病気ではなく100人中2~3人、疫学的に推計される患者数は130万人弱と、決して少なくありません。
原因は分かっていませんが、10代から発症し、男性よりも女性に多い傾向があります。
子どものOCDの場合、恥ずかしがって隠してしまい、発見が遅れることがあります。そのため、症状が進行して精神疾患などを合併し、家庭内では対応できなくなることもあるのです。
ただし、OCDは適切な治療を行えば、回復できる病気なのです。
強迫観念とその行為
強迫観念とは、自分の意に反して繰り返し頭に浮かぶ不安を煽る思考やイメージです。
強迫行為とは、不安を打ち消すために行う行為のことで、無意味だと分かっていても、やめることができません。
主な症状は4つあります。
❶【不潔恐怖】
強迫観念→汚れることに強い恐怖心がある。
<強迫行為>
●トイレ後に何度も手を洗う。
●トイレは服が汚れると思い、全裸にならないと用が足せない。その度に着替える。
❷【確認恐怖】
強迫観念→自分の過失で何か起きるのではと心配になる。
<強迫行為>
●玄関の鍵をかけたか不安で、施錠の確認のため何度も戻る。
●ガスの火を消したか何度も確認し、家から出られなくなる。
❸【不完全恐怖】
強迫観念→完璧にしなければならないと自らに課す。
<強迫行為>
●確認事が中断すると、最初からやり直す。
●決まった場所にものがないと気が済まない。
❹【縁起恐怖】
強迫観念→不吉なことが起こると思い込む。
<強迫行為>
● 数字の4や9、13などを避ける。
● カラスを見た日は災いが及ばないよう、家から出ないなど……。
患者さん本人の思い
患者さんは、確認行為を繰り返しても不安が消えないと、ご家族に自分の行動が大丈夫か何度も確認したり、自分と同じ行動を強制するようになったりします。
本人もこれらの行動がおかしいとわかっているのです。
だからこそ周囲の目が気になって、「自分はおかしい」、「奇異な目でみられる」といった恐怖と精神的苦痛に苛まれてしまうのです。
ご家族は苦悩する患者さんの姿を見て、求めるとおりに振る舞いますが、症状が改善せずに、要求がエスカレートしていく傾向があります。
すると、患者さん、ご家族ともストレスが溜まり、精神的・体力的にも追い詰められていきます。
次号はご家族が出来ること、治療法についてお話しいたします。
健康管理士の松渓(マッケイ)と申します! 若い頃はスキー三昧の日々を送っていましたが大ケガをして引退。そこから健康のありがたみに目覚めました。皆さまの日々の暮らしに「ちょっと役立つ」情報を随時発信していきますので、参考にしていただければ幸いです。
残念ながら、25年ほど健康関連の業界に身をおく私からすると、世にあふれる健康情報の中には「?」と首をかしげたくなる内容も。そのため、つい辛辣な言葉もでてしまうことがあると思いますが、どうかご容赦くださいませ。