インフルエンザが猛威をふるっています。インフルエンザは38℃を超える高熱が出るのが特徴です。最近では高熱を伴わない場合があることもわかってきました。インフルエンザは12月上旬頃から発生し、1~3月頃にピークを迎えます。
手洗いやマスクをするように言われますが、外からの防御だけではたりません。同時に口の中や喉などに侵入してきたウイルスを増殖させないことも重要です。口の中には、ウイルスの感染を助ける細菌が潜んでいるため、口の中を清潔にして細菌を減らしておくことが大事だといわれます。
乾燥で感染しやすくなる
喉や気管支は乾燥すると防御機能が低下するため、ウイルスに感染しやすくなります。マスクをするときは湿ったガーゼなどを内側に当てたり、室内では加湿器などを利用して湿度を40%以上に保つのも有効です。水を入れた洗面器を枕元に置いて寝るのも良いですね。
しかし、どんなにいろんな対策を講じても、体自体の免疫力が低下してしまっていては、インフルエンザウイルスに対処することはできません。
免疫力を高めるには
免疫力をアップする最大の方法はなんでしょうか?
まず『体温を上げること』です。
一般に、体温が1℃下がると免疫力は約30%低下するといわれています。逆に体温が1℃上がると、免疫力は一時的に5~6倍にアップするとも。
もっとも健康で免疫力が高い状態の体温は、36.5~37℃くらいとされています。免疫力が高い状態をキープし、インフルエンザウイルスをやっつけるには、日頃から体を温めて平熱を上げておくことが何より大切なのです。
体を温める食べもの
生姜、人参、ネギ、黒砂糖などは体の内側から温めて、冷えからガードしてくれます。そのほか、ニンニクや鶏肉、ヨーグルト、納豆、紅茶、緑茶などの免疫力を高める食品もおすすめです。
しその葉、カツオなどの赤みの魚やレバー、羊肉も体を温めるのに有効的な食品です。
不規則な生活、ストレス、環境汚染など、現代は免疫力を低下させる原因がいたるところに存在しています。体温をあげるだけで病気にかかるリスクから少しでも離れられるのであれば、積極的に体温を上げる食品を摂っていきたいですね。
筋肉をつけて熱量を増やす
筋肉は体の中でもっとも大きな熱の生産器官です。体を動かすことでうまれた生産熱量の割合は、筋肉質の人で80%近くまで上昇するといわれています。筋肉を増やすもっとも手っ取り早い方法は、大きな筋肉のついている太ももを鍛えることです。まずはスクワットなど、自宅でできる運動をとりいれてみましょう。
免疫力を助けるスパイス
腸内環境を整えて免疫力を高める食べものには、肉・魚などの作用を助ける『スパイス』が薬膳ではいいとされています。
刺身にわさび、トンカツにからし、うなぎに山椒、ステーキに胡椒が必ずついているのは、芝居で主役と脇役が対になっているようなもの。
脇役あってこそ、主役が生きているのです。肉・魚の脇役の顔ぶれは『スパイス・薬味』です。いずれも肉や魚の力を引き立て、腸内環境を良好にして、免疫力を高めているのです。
家庭の【食医】
紀元前1000年頃の周王朝の時代に、官職として『食医』というくらいが設けられました。日々の食膳を通して皇帝の健康を管理調整する者として、医療職の中ではもっとも高い位とされていました。
病気になってから手当てをする医師はその次の位で、食べもので病気を未然に予防することこそ最上とされていたのです。
毎日家族の食事を作るお母さんは、一家の『食医』なのです。
「東京薬膳研究所」代表。本場中国で薬膳を学び、帰国後は日本の気候風土に合った薬膳理論を研究。和食薬膳・食養研究の第一人者である。『食は薬なり』を全国へ広めるため、執筆活動のかたわら各地で講演を行い活躍中。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)などがある。