今年の夏の暑さは、まさに【命懸け】の酷暑です。
テレビやラジオからは、熱中症に関するニュースと警告が毎日流れていますね。
そんな中で、知人が倒れて臥せっているとの情報が入り驚きました。幸いにも、わたしが救急車のお世話になることもなく無事に過ごせているのは、きっと食事のおかげだと思います。
夏バテ防止の冷や汁
暑い夏の人気メニューといえば、宮崎県の郷土料理【冷や汁】です。
農業で忙しいときに、火なし料理として昼食などに食べていたといいます。昔は出汁などとらずに味噌を水でのばしていたようですよ。
『家庭の郷土料理』(全国友の会編)から作り方を見てみると、煮干しの頭と腸を取り、フライパンで乾煎り、それをすり鉢ですります。その中に煎りごま(大さじ3)を加えてよくすり、味噌(100g)も加えてさらによくするそうです。できた味噌ダネをすり鉢のまわりに塗りつけ逆さにして火にかけ、焼き目をつけます。その中に出汁(4カップ)を少しずつ加えてお好みの濃さにしましょう。そこに小口切りにしたきゅうり(1本)と小ネギ(3本)、みじん切りにした青じそ(2~3枚)、豆腐(1/2丁)をくずしながら入れて冷やせば完成です。
郷土料理がでてくるお店では、煮干しの代わりに焼いたアジや鯛などを使用しています。以上が昭和55年に出版された本に書かれていたもの。
いまから42年前、この冷や汁がひそかなブームを呼び、デパートなどで「冷や汁の素」が人気となっていました。
水を加えて人数分にのばし、きゅうりや薬味を刻んで加えれば即席冷や汁の出来上がり、というわけです。
栄養満点の冷汁は、火照った体をクールダウンしてくれます。
しかし現代ではすり鉢のない家庭が多いはず。さらにすり鉢をひっくり返して味噌を炙るのも大変な仕事になります。今回は、お中元に頂いた缶詰に入っていたサバの水煮缶で「簡単冷や汁」を作ってみました。
サバ、イワシ、アジ、サンマなどの青魚に含まれるDHA・EPAが、動脈硬化や血栓症、アルツハイマー症などの予防に役立つとして注目されています。ごまの香りと薬味の風味が食欲を促します。消化の良い麦ご飯にかけて、夏バテ防止の薬食としていただきましょう。
酷暑を乗りきる農家飯 冷や汁
【材料】
煎りごま 大さじ2
サバの水煮缶 1缶
信州味噌 大さじ2
豆腐 1/2丁
きゅうり 適量
薬味(青じそ、みょうがなど) 適量
出汁 適量
【作り方】
①ボールに煎りごま、サバの水煮缶、信州味噌を入れて、サバをほぐしながら混ぜ合わせます。
②そこに出汁を少しずつ加えて味噌を溶かし、お好みの濃さに仕上げましょう。
③豆腐を手でくずしながら加え、薄く切ったきゅうり、刻んだ薬味を合わせて、冷蔵庫でしっかり冷やせば完成です。
「東京薬膳研究所」代表。本場中国で薬膳を学び、帰国後は日本の気候風土に合った薬膳理論を研究。和食薬膳・食養研究の第一人者である。『食は薬なり』を全国へ広めるため、執筆活動のかたわら各地で講演を行い活躍中。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)などがある。