じめじめと湿度が高く蒸し暑い梅雨期。
日差しを浴びる時間が少ないこの時期は、気分も鬱っぽくなりがちで、身体がだるくなったり、食欲がないなど、天気と同じようにスッキリしません。中国では湿気を病気の原因のひとつと考えて『湿邪』と呼んでいます。気分が優れないなどの精神面・神経系にも大きな影響を及ぼすといわれ、トラブルをもたらすのです。
五行説で湿気の影響をもっとも受けやすいのは、脾胃・手足・筋肉となっています。この季節はなんとなく体が重い、手足がだるい、足がつるといった声も多いですね。
蒸し暑さで寝苦しいのを解消しようと、エアコンや扇風機などをかけたままにしたり、肌掛けをはいで寝たりすると、朝方になって足がだるくなったり、つったりしやすくなります。
また、じっとり汗をかいて冷房で冷やすなどをくりかえしていると、湿気によって縮み現象が起こり、腰痛、関節痛が起きるといわれています。肌を出して寝たり、冷気に直接あたらないように気をつけましょうね。
漢方では「脾胃は湿を嫌う」といわれています。胃や腸など消化器系に湿邪が入ると、お腹が張る、ガスがたまる、軟便が続くなどの症状が起きやすくなります。
食生活では、湿気が強い季節に冷たいものや脂っこいものを一緒に摂ったり食べすぎたりすると、胃腸の働きが損傷します。
梅雨期は湿邪に気をつけて、胃腸の疲れを癒す食生活を心がけるのが大切です。
ご紹介するシロップに使用する、りんごの胃腸機能を強化して下痢を止める働きは、まさに弱った脾胃にぴったりと言えるでしょう。それに冷えを防ぐ効果のある生姜は胃腸が喜びます。お湯にといてお茶としてもよし、ヨーグルトに混ぜてもよしのシロップを、みなさんも作ってみてくださいね。
アップルジンジャーシロップ
【材料】
りんご 1個
生姜 35g
レモン 1個
きび砂糖 100g
水 1カップ
【作り方】
①生姜は皮つきのまま薄切りに、りんごは皮を剥いて4等分に切ってから芯をとって1cmの薄さに切りにします。
②鍋にりんごと生姜、レモン汁とレモンの皮少々ときび砂糖を入れて混ぜ合わせます。
③水分がでてきたら水1カップを入れて火にかけ、沸騰したらアクをとって落し蓋をし、弱火で30分火にかけます。
④味見をして薄ければ、レモン汁やきび砂糖を足してさらに煮込みましょう。お好みの味になれば完成です。
「東京薬膳研究所」代表。本場中国で薬膳を学び、帰国後は日本の気候風土に合った薬膳理論を研究。和食薬膳・食養研究の第一人者である。『食は薬なり』を全国へ広めるため、執筆活動のかたわら各地で講演を行い活躍中。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)などがある。