日本の麹カビ研究が世界を救う
高峰譲吉(1854年〜1922年)という人物をご存じですか。高峰は加賀藩の御典医の長男として生まれ、わずか11歳で、蘭学で有名な長崎に留学するほどの英才でした。
母の実家は造り酒屋。幼い頃から麹と発酵に接していた高峰は、「たくさんの人を救いたい」と数々の研究を重ねます。その甲斐あって海外でもニホンコウジカビの発酵技術が認められ、36歳で渡米。
その後、高峰はニホンコウジカビが発酵過程でデンプンを分解する能力に注目し、強力な消化酵素「ヂアスターゼ」の抽出に成功します。
自身の名の「タカ」とラテン語の「TAKA(強いという意味)」を掛けて、タカヂアスターゼと命名されたこの消化酵素は全世界で販売され、またたく間に家庭の常備薬になるほどの大ヒット!胃痛に悩んでいた夏目漱石の「吾輩は猫である」に登場するなど、胃腸薬の代名詞となりました。
三共製薬の創業者でもある高峰が開発した胃腸薬は、百年以上たった今も「第一三共胃腸薬」の名前で販売されています。成分一覧にタカヂアスターゼと書いてありますので、確認してみてください。
ちなみにこの高峰譲吉がいなければトヨタ自動車や日産自動車、そしてかの有名な野口英世も存在しなかったかもしれない!という偉人でもあるんです。(歴史秘話は割愛…)
カビとそれにまつわる人物をご紹介しました。
さて前号でもご紹介しましたが、有益なカビもあれば、私たちの健康に被害をもたらすものもいます。次のような症状はありませんか?
夏に増加する肺炎
カビの胞子を吸い込むことでアレルギー反応を起こす肺炎が、夏型過敏性肺炎。5月から10 月の間だけ咳が続き、旅行などで自宅を離れると体調が良くなるという方は、この肺炎の疑いがあります。そのほかにもカビが原因で起こる病気・症状は次の通りです。
カビが原因で起こる病気は、大きく分けて次の3つ
①アレルギー
主に空中に浮遊する黒カビの胞子が原因。
☆主な症状‥‥‥アレルギー性の気管支喘息、鼻炎、結膜炎、蕁麻疹など。
②皮膚感染
カビが人体に寄生することが原因。
☆主な症状‥‥‥最も有名なのが水虫。白癬菌の感染で、日本人の2千万人以上が悩んでいます。
③カビ中毒
毒性のある青カビの一種を摂取することが原因。
☆主な症状‥‥‥原因不明の嘔吐・下痢などのほか、肝臓ガン、腎臓障害、造血機能障害など。がんの場合は吐き気や痛みが起きるわけではないので、気づきにくい。
«カビを抑える3つのポイント»
日本の梅雨時はカビにとっては天国のようなもの。大繁殖しないようにしっかりとカビ対策を行いましょう。
換 気:空気の出入口を作る。コツは、入口は狭く出口を広く。窓が一方向しかない場合は扇風機を窓側に向けてかけましょう。
除 湿:雨天の時は換気扇や扇風機、除湿機やエアコンを上手に使いましょう。
掃 除:除湿機やエアコンはカビが繁殖しやすい場所です。定期的に掃除してカビを撒き散らさないようにしましょう。
しっかり対策をして梅雨を乗り越え、快適な夏を迎えてくださいね。
健康管理士の松渓(マッケイ)と申します! 若い頃はスキー三昧の日々を送っていましたが大ケガをして引退。そこから健康のありがたみに目覚めました。皆さまの日々の暮らしに「ちょっと役立つ」情報を随時発信していきますので、参考にしていただければ幸いです。
残念ながら、25年ほど健康関連の業界に身をおく私からすると、世にあふれる健康情報の中には「?」と首をかしげたくなる内容も。そのため、つい辛辣な言葉もでてしまうことがあると思いますが、どうかご容赦くださいませ。