ひじきで貧血は治らない?
「私貧血なんだよね」。
女性同士の会話で時々交わされるこの「貧血」。
そもそも貧血って、いったい何なのでしょう。
私たちの細胞は、血中のヘモグロビンが酸素を全身の細胞へ運んでくれるおかげで、生きていくことができます。
このヘモグロビンが不足した状態のことを、貧血と呼びます。ヘモグロビンは鉄分から作られることから、この鉄分が血中から不足する状態も貧血と呼ぶこともあります。
厚生労働省推奨の鉄分量の摂取はかなり難しい
女性に特に多いのが「鉄欠乏性貧血」と呼ばれる文字通り鉄が欠乏しているタイプの貧血。月経が原因となっていることも多く、月経のある女性の5人に1人は貧血と言われています。1度の月経につき約30mgもの鉄分が失われてしまいます。
理想的な食事をしている人でも、1日約10mg(吸収量は約1mg)の鉄分しか摂れていません。鉄分は、必要量に達するのがかなり難しいのです。
昔のひじきと今のひじきは全く違う食べ物
「あ、鉄分が必要なのね。だったらひじきが手っ取り早いんじゃない?」
そう思ったあなた、ちょっと待ってください!
文部科学省が発行している『日本食品標準成分表』。
最近の改訂で話題になったのが、鉄分の王様とも言われていたひじきの鉄分量でした。ひじき100gあたり55mgあった鉄分が6.2mgと、突然9分の1の値に激減・・・、衝撃が走りました。
原因はまさかの製造方法にありました。
かつてはひじきの製造に使われる釜の主流が鉄だったのですが、工業生産されてゆく中で多くのひじきが鉄鍋ではなくステンレス鍋による製造に変わったかららしいのです。
ちなみに切り干し大根も、製造工場でのステンレス製カッターの普及を受け、鉄分が9.7mgから3.1mgに減っているそうです。(厚労省によると鉄分の1日の摂取基準量は約6mg)
製法によりこんなにも影響を受けるなんて驚きですね。
食品に含まれる鉄分には
・「ヘム鉄」:肉や魚の赤く見える部分に多く含まれる
・「非ヘム鉄」:野菜や穀類、豆腐などに多く含まれる
の2種類があります。
・ヘム鉄の多い食べ物:やっぱりレバー。その他肉や魚の赤く見える部分なども豊富です
・非ヘム鉄の多い食べ物:豆類、小松菜
・両方摂れる:アサリ、しじみ
おすすめの調理法としては、鉄鍋や南部鉄の鉄瓶の使用、またお湯を沸かす時に中に入れて一緒に茹でるタイプの鉄玉を使用すると鉄分が増えて有効です。
冷え症の人こそ分厚い靴下は危険
女性の多くが悩まされている「冷え症」、特に冬場に足先が冷える末端の冷え症、とっても辛いですよね。
「外にいるときは、できるだけ分厚い靴下を履いておこう」
「家に帰っても、やっぱり冷たいから、そのまま分厚い靴下を履いていたい」。
その気持ち、わかります。でもその作戦、逆効果です。
そもそも足先が冷えるとはどういう現象が起こっているのか、解説しましょう。
「寒い」とき身体は、体温をできる限り奪われないように働きます。
そこで、体温が逃げることを防ぐために、体の表面にある血管を収縮させて、熱が逃げないようにするという反応を示すのです。血管が収縮すると、それだけ血流が悪くなるということが起こってきます。
本来この血管の収縮が起こっていなければ、温かい血液が十分に循環していくはずなのですが、「寒い」と認識すると、血管が収縮し足先などの末端が冷えてしまいます。
それを解消するには、血管を温めて血流を取り戻すことで体温を体の隅々まで届けることが必要ですが、ここで分厚く締めつけのきつい靴下を履いてしまうと、血流が阻害されてしまい、温かい血流が十分に届かなくなって冷えてしまうのです。
家に着いたら靴下はまず脱ぐ
ではどうしたらいいのでしょう。まずは外から帰ったら、靴下を脱ぎましょう。汗を吸って予想以上に湿っているため、この後じわじわと冷えてしまうからです。
次に、足首を締めつけないタイプの靴下に履き替えましょう。足首は、身体の中でも動脈が体表近くを走っている部位ですから、動脈の血流を妨げないほうが足先に温かい血液が届きやすくなります。
具体的には、「ふわふわしたタイプの締めつけない&通気性のよいレッグウォーマー」を使用するのがおすすめです!
「ぬるめのお風呂でゆっくり半身浴が健康にいい」は、本当か?
「美貌を保つためには、ぬるめのお風呂で半身浴が一番」
これは本当なのでしょうか。
半身浴とは、浴槽に座った状態で入り、身体に対する水位はみぞおち程度までの入浴とされています。
一方で全身浴の場合は、座った姿勢でしっかり肩まで入るため、首元まで湯に浸かっていることになります。
ここで、全身浴による科学的効果を3つお伝えしましょう。
水圧効果:浴槽に入った際に、お湯から体に向かう水圧のこと。この水圧によって適度に体が圧迫されて、心臓への血液の戻りを助ける効果がある。そしてこの効果は圧のかかっている範囲に依存するため、半身浴であればこの効果は全身浴の半分になってしまう。
温熱効果:体が温まると血管が広がって血流がよくなり、酸素や栄養分が行き渡って代謝がよくなる。肩こりや慢性的な痛みを改善する効果もある。
浮力効果:水中で働く浮力のこと。関節や筋肉の緊張を緩めてリラックスさせてくれる。
全身浴の一番の効果は②の温熱効果によるものです。お湯によって体が温まると血管が広がり、結果として血流がよくなります。血液は体内に酸素や栄養分、ホルモン、免疫物質などを隅々まで運ぶ機能があり、同時に抹消に溜まった老廃物や二酸化炭素、疲労物質などの不要なものを回収する働きがあります。
現状よいとされている入浴は、半身浴ではなく全身浴で、40~41℃のお湯に10~15分浸かる。これが今のところ、エビデンスが一番しっかりしているようです。これによって体の深部体温が1℃上がり、血流がよくなります。
半身浴では、単純にこの倍の時間がかかってしまいます。
ただし呼吸器疾患や心疾患があり、水圧効果や温熱効果による体への作用が全身浴では大きくなりすぎてしまう人や、苦しい感じが出てしまう人などは、半身浴で緩やかに効果を出すのがおすすめです。
世の中にはさまざまな健康法がありますが、真偽が定かでなく身体に良くないものも存在するのが実情です。エビデンスに基づいているのか確かめながら、皆さまも本当にご自分の身体の健康状態を向上させるものかどうか改めて考えてみてはいかがでしょうか。