その健康法が身体を壊す
巷にあふれては消えてゆく健康情報。
それ、本当に科学的根拠ありますか?
たとえば、牛乳が身体にいいという意見もあれば、身体に悪いという真逆の意見も出ています。
ほかにも、風邪をひいたときの対処法から半身浴の是非にいたるまで、あらゆる健康情報が駆け巡っては消えていきます。
生活の中で何となく信じている健康法が、実は身体を壊してしまうこともあります。
何事も、本当かどうかを一度疑う姿勢こそ大切。
今回は、年間500本以上の医学論文を分析するという著者による見解をいくつかご紹介していきましょう。
ビタミンC自体には風邪を予防・改善する効果はない
「風邪をひいたからビタミンCをしっかり摂ろう」という話、よく聞きますよね。
ビタミンCの主な働きは「抗酸化作用」「鉄分の吸収促進」「コラーゲンの合成補助」「リンパ球の活性化」などが主です。これを見るとわかるように、何かを作ったり働かせたりするための成分ですね。
では本当にビタミンCは、風邪に有効なのでしょうか?
以下は、2013年に発表された有名な研究結果です。
「ビタミンCによる風邪の予防および治療」について次のように報告されています。
・ビタミンCを常に摂取していた群と摂取していなかった群での風邪の発症率に差は無し
・罹患期間はわずかに短縮傾向があった
・風邪にかかった後に治療薬としてビタミンCを摂取した場合の風邪の重症度や罹患期間は、一定の法則性はなし
ということがわかりました。
つまりは風邪にビタミンCは悪くはないけど、それほど効くというわけでもないということのようです。
レタスの食物繊維の量って実際どうなの?
よく目にする「食物繊維がレタス〇個分」の表示。
「そもそも、なんでレタス換算なの?」と思ったことはありませんか。
実はレタス、野菜の中でも食物繊維は決して多いほうではありません。もっと多い野菜はたくさんあります。
わかりやすい例では、ゴボウ100gに含まれる食物繊維の量はなんと5.1g。
つまりゴボウのほうが、レタスよりも約5倍も食物繊維が多いということになります。
レタスが基準になったのはなぜ?
ではなぜ、レタスで換算するのが通例になっているのでしょう。
それは、脳の錯覚が使えるから。
レタスといえばサラダの材料の代表格だし、食物繊維も多そう、というプラスのイメージを持っています。そのプラスイメージのレタスが何個分も入っているなんてお手軽で素敵そう、と思わせる効果が期待できるのです。
本当に大事なことは、表記に含まれるいろいろな錯覚効果に惑わされることなく、自分で情報をきちんと評価することです。
乳製品を摂るほうが骨折率が高い?
「骨を丈夫にするためにも、牛乳はしっかり飲みましょうね」とお母さんから言われた人も多いのでは?
これに関しては、大きな衝撃を与えたハーバード大学での研究がありました。
乳製品を多く摂っている国のほうが、乳製品をあまり摂らない国よりも骨折率が高い、という発表でした。さらに日本の研究者からもそれを裏づける研究結果が発表され、大きな話題となりました。
乳製品を肯定する研究と、否定する研究
乳製品を多く摂っている人ほど脳卒中や循環器系の血管疾患やそれによる死亡率が、あまり摂っていない人に比べて低い傾向にあるという報告がいくつか出ています。
しかし、食べると絶対に発症予防になるというほど強い結果は出ていません。
糖尿病に関しても、乳製品を多く摂っている人ほど発症のリスクが低いという関連が示唆されている研究も出ています。
逆に、健康上のデメリットの報告も出ています。2014年にイギリスの権威ある雑誌に報告された研究では、男女ともに牛乳摂取量が多い人ほど死亡率、骨折率、酸化ストレスの値が高いことが、スウェーデンの研究者らによって報告されました。
とはいえ、骨のためにカルシウムやビタミンDが必要なことに変わりはないので、牛乳に限らず、カルシウムが摂取できるタイプの食品をバランスよく摂ってゆくことが大事です。
食品や栄養素の一面だけを見て効果を見込むよりも、普段の食事から幅広く栄養を摂ることを心がけるのがとても大切です。