厳しいカロリー制限や食事の量を減らすような「食べないダイエット」は、一時的に体重は落とせても、キレイにはなれません。必ずリバウンドがあり、太る体質が身についてしまいます。
ファスティングという言葉をご存じでしょうか。
ファスティングとは、一定の期間、とくに固形の食べものを口にするのを控え断食することをいいます。
このような断食によるダイエットに挑戦したにもかかわらず、「効果が実感できなかった」「リバウンドした」という声を聞くことがあります。
血糖値の乱高下がリバウンドの原因に
私たちの体は、食事をとると食べたものに含まれている糖質が体内にとり込まれ、血糖値が上がります。血糖値が上がると、今度はその上がった血糖値を下げようとして膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。
糖質は脳や体のエネルギーになる必要不可欠なものですが、とりすぎれば血糖値が急上昇し、インスリンが大量に分泌されて血糖値は急降下します。これが、血糖値が乱高下するメカニズムです。
ところで、なぜ血糖値の乱高下が体によくないのでしょうか。それは、「血管がダメージを受けるから」です。
血管がダメージを受けることで、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まるだけでなく、ダイエットに影響があるとされています。血糖値が急上昇する際にとりすぎた糖質は、脂肪として体内に蓄えられてしまうもの。その後、血糖値が急降下するタイミングには強い空腹を感じるため、体が糖質を求めて食欲が暴走します。
ファスティングでダイエットをすると、厳しい食事制限によって一時的に体重は落ちても、その後の過剰な食欲により糖質をとりすぎてしまって脂肪をためこみ、リバウンドを招く…というのは、よくある話。
血糖値の乱高下が、ダイエットの成功を阻む原因のひとつになっている可能性もあるのです。
糖質制限や炭水化物抜きのダイエットの真実
近年トレンドの糖質制限や炭水化物を抜くことによるダイエットも、メリットだけでなくデメリットも含めて知る必要があります。
そもそも糖質とは炭水化物の一部のこと。
いわゆる糖質制限ダイエットとは、炭水化物に含まれる糖質の摂取量を制限するダイエット法のことをいいます。具体的には、お米やパン、甘いものなどを控える場合が多く、イモ類や根菜類などを制限することもあります。
糖質制限ダイエットによって、グリコーゲンとして肝臓や筋肉にたくわえられていた糖質が少しずつ減るため、体重が減少しやすくなります。
体重が落ちると、見た目もすっきりするため「短期間で結果が出やすい」「効果を実感しやすい」と人気が出たのでしょう。
ただ、大きなデメリットがあることをご存じでしょうか。
それは、体重が落ちるのと同時に全身の筋肉も減少しがちだという点です。
筋肉が少なくなると体が冷えやすくなり、代謝が下がります。代謝が低ければ、エネルギーに変えられなかった栄養が体に蓄積してしまい、太りやすい体になってしまうのです。
ガソリン不足に要注意!
以前は「とにかく食べなければやせる」「ご飯を食べずに、おかずだけ食べてやせる」といった、食べずにやせる方向のダイエットが主流でしたが、自分の心身が必要とする食べものと食べ方を身につけることがキレイになる基本です。
食べないダイエットをおすすめしないもうひとつの理由は、リバウンドを招きやすくするという点です。食べる量を減らせば一時的に体重は減りますが、そのときの脳は飢餓状態となり「もっと栄養をとり込まなければ!」と勘違いします。すると、体は省エネモードに入り、少ないエネルギーでも活動できるように、とった栄養を溜め込もうと働きます。その結果、通常の食事の量に戻した場合に、むしろ体重が増えやすくなってしまいリバウンドを招くようになるようになるのです。
食べる量を減らしたり、食事制限をしたりすると、ビタミンやミネラル、食物繊維などの不足にもつながります。必要な栄養が不足すると、肌や髪から潤いが失われるだけでなく、体のあちこちに不調が出始めることになってしまうので注意が必要。
ガソリンなどの燃料がないと車は走らないように、エネルギーがなければ私たちの心身は健康でい続けることはできません。たんぱく質と脂質、炭水化物という三大栄養素がとれていないガソリン不足の状態では、たとえ筋トレをしても、本来筋肉になるはずのたんぱく質も足りなくなるため、効果が出にくくなります。
太りにくい体を手に入れる
ガソリン不足を招かないように、自分の体が必要とする栄養と量の食べものをきちんと摂る食事は欠かせないのです。
無理なくキレイに、健康的に太りにくい体を手に入れるためにも糖質制限や炭水化物抜きのダイエットではなく、適量の糖質をとる「食べてキレイになる」食事をおすすめします。
美しく健康的な体を目指すなら、「食べないダイエット」よりも「必要な量をしっかり食べて」キレイになりましょう。