
「ここ最近なんとなく体が重だるいわ」
「寝ても寝ても疲れがとれなくて・・・」
特に疲れやすいと言われているのが、50代から70代にかけてのミドル世代の女性。
ミドル世代の疲れやすさの原因は、筋力の低下や骨の衰えなど加齢によるものだけでなく、人間関係の悩みや家族との関係の変化によるストレスも考えられます。
ミドル世代は、何かと不安に直面しがち
子どもが親から離れていく寂しさを実感したり、友人と共感できない悩み事も増えてくるお年頃。
そういえば私もパートナーとの会話のすれ違いが日常茶飯事。「このゴミ回収の連絡先は自治体なのか業者なのか」などつまらないことで週に3~4回はいさかいが起こり、気が休まる時間も劇的に少なくなってきました。これもミドル世代ならではの悩みなのかもしれません。
いろいろ対策をしても、バリバリ仕事などをされていて、毎日疲れ果てている方も多いでしょう。誰かに「休み方」を教わったこともないし、困ってしまいますよね。
労働も日常生活も疲労がつきものです。がむしゃらに活動して疲労が蓄積すると、じつは簡単に病気になるというから恐ろしいもの。
疲労を取り除いて快適に過ごす人生を送りたくありませんか?
まずは、片野 秀樹氏著『休養学: あなたを疲れから救う』を参考に疲れの恐ろしさについて学んでいきましょう。
疲れている人は25年間で2割も増えた
ぶしつけですが、あなたは今、疲れていませんか?
おそらく、「すごく疲れている」か「まあまあ疲れている」のどちらかではないかと思います。なぜそういえるのでしょうか。
日本リカバリー協会の調査によると、日本全体の約8割が疲労を抱えて生活していることが判明しているのです。
「疲れているので休みます」と言えない
何しろ日本は、学校を1日も休まなかった人を表彰する「皆勤賞」まであり、毎日休まず会社や学校に行くこと自体に価値をおく社会です。まだまだ多くの人が、休むことイコールなまけること、さぼることだと捉え、休むことに罪悪感を抱いています。
疲れていればパフォーマンスが出ないことはみんなわかっています。それでも自分だけ勝手に休むわけにはいかない。だから出社はするけれど、能率が全然上がらない。いったん出社すれば、上司が帰らないと自分も帰れない。「遅くまで会社に残っていると熱心だ」「早く帰るやつは仕事をしていない」といわれる・・・。
こうした疲れているのが当たり前の社会、疲れたら休むという当たり前のことができない社会はやはりおかしいのではないでしょうか。
単に体を休めるだけでは疲れはとれない
さらにコロナ禍以降、オンラインでミーティングができるようになって、スケジュールがみっちり詰まるようになりました。
たとえば営業の仕事をするときも、今までは移動時間があったので1日でせいぜい3件しか訪問できなかったところを、オンラインなら1日に6件も7件もこなせるようになったのです。
1日3件が6件になったら、仕事量は倍に増えています。なおかつ、電車で移動中に音楽を聴いたり、同僚と雑談したり、お茶を飲んだりする時間もなくなってしまいました。
そうなると以前より疲れるし、鬱屈もたまるでしょうし、なんとなく孤独感を覚えるようになるのは当然ではないでしょうか。
このような時代には、今までのように単に体を休めたり、眠ったりするだけでは、疲れがうまくとれません。
激変する働き方に合わせて、頭の疲れをほぐしたり、孤独を癒したりするような休み方を自分で工夫する必要が出てきたといえます。
オーバートレーニング症候群は恐ろしい
それでも休まずに進み続けると、疲れをリセットできなくなります。これを繰り返すと、「オーバートレーニング症候群」といって、どんどんパフォーマンスが下がる負のスパイラルに陥っていくのです。
家族や同僚が「ちょっと休んだほうがいいんじゃない」くらいは言ってくれるでしょうが、プロとしてのアドバイスをしてくれる人はいません。
ですから、「しっかり休んで疲労回復してから仕事に臨んだほうが、かえってパフォーマンスが上がる」と理解し、自分でペースをコントロールしなければ、たちまちオーバートレーニング症候群に陥ってしまうのです。
疲労は病気につながるサインである
私たちは酸素を吸って生きていますが、酸素を吸うことで生じる、よくない副産物もあります。それが酸素ラジカルという活性酸素です。
活性酸素は細胞を傷つけます。傷ついた細胞を修復するためには修復エネルギーが必要になります。その修復エネルギーは何かというと、ATP(アデノシン三リン酸)です。
これはミトコンドリアでつくられ、われわれの体を動かす原動力となるガソリンのようなもので、ATPが潤沢にあれば、傷ついた細胞をすぐ修復してもとの状態に戻せます。
しかし体内のATPを使い切って枯渇してしまうと修復ができない状態になってしまいます。そうするとさまざまな悪い影響が体の中に生じてきます。
その1つが疲労です。
疲労を放っておくと、重大な病気を招く可能性もあります。「たかが疲労」ではありません。
疲労の初期段階でしっかり休めば、何ら問題ありません。しかし、休まずにいると今度はなかなか回復できなくなります。
疲労感は体からの警告である
疲労感は疲労が存在することを自覚する感覚です。疲労感があると「だるさ」や「おっくうさ」を覚え、何もせずじっとしていたいと思うようになります。ではなぜ体は疲労感を覚えるのでしょうか?
それは、疲労感とは「あなたは疲労しています。これ以上活動を続けると危険ですよ。今すぐ休みなさい」という警告、アラートなのです。
まずは、ためらわずに休むこと、できれば疲れる前に休むことを心がけることが大切です。
今回は、主に疲労をためることのデメリットをご紹介しました。みなさまにもあてはまるところがたくさんあったのではないでしょうか。
次回は、新しい休み方「積極的休養」についてご紹介しますので、ぜひご覧ください。