コラム

「腸活にヨーグルト」はもう古い!?腸活をアップデートする最新情報

健康や美容のため、大注目されている「腸活」。

これまで未知の世界だった腸についての研究も進められ、新しい情報もどんどん届けられています。

しかし、今まで信じられてきた「腸活の常識」のなかには、最新の研究で「まちがいだった」と分かった情報も多数あります。

今回は臨床医の検証とデータから、これまでの常識をくつがえす最前線の情報をお届けします。

 

「腸の宿便はがし」はウソ

「宿便を出せばやせる!」「宿便をはがして肌をきれいに」などという美容の広告をご覧になったことはありますか?『腸内環境が悪い=宿便がたくさん腸にこびりついている』と考えている方もいらっしゃいます。

実は滅多にこんな状況にはなりません。消化器専門のドクターも腸にこびりついてはがれないような便や、ものすごく古い便の塊は見たことがないと言います。

一週間に1度しかお通じのないひどい便秘の人でも、ほとんどの場合、古い便がずっと腸に居座っているというよりは、少しずつ古い便と新しい便が一緒に出て入れ替わっていると考える方が自然です。

大腸は基本的に、常にぜん動運動を繰り返し、便を押し出し続けています。一週間程度の便秘なら、大量に宿便が溜まっているという心配は無用です。

ただし、便秘の症状が長期間続いている場合は、根本的な解決をしなければなりません。自分の判断で便秘解消法をいろいろ試すだけでなく、きちんと医師の診察を受けましょう。

腸ケアにはヨーグルトが本当にいいのか?

「健康のためにヨーグルトを食べてます」という人、とても多いですよね。

ヨーグルト売り場には「〇〇菌が生きて届く」とか「〇〇株の乳酸菌!」と書かれていたり、機能性表示のあるヨーグルトが所狭しと並べられています。

しかし、実は日本人の約9割は「乳糖不耐症」と言われており、乳製品をうまく消化できません。ヨーグルトでお通じがよくなったという人も多いですが、乳糖不耐症によってお腹を壊しているだけということも考えられます。

また、乳製品に含まれるカゼインも問題です。カゼインはたんぱく質の一種ですが、人間の胃で消化できないため、未消化の状態で腸へ送られます。そのため、腸内細胞が炎症を起こし、リーキーガット(腸漏れ)の原因となるリスクが指摘されています。

また、乳製品が遅延型フードアレルギーを起こすケースも珍しくありません。

遅延型フードアレルギーは体中の炎症を招き、さまざな不調を引き起こします。腸の細胞にも炎症が起こり腸漏れとなる可能性が高まります。

遅延型フードアレルギーとは…

原因となる食べ物を摂取後、数時間から数日後に症状が出るケースが多いため、原因が分かりづらい。

 

腸活最新トレンド!「ポストバイオティクス」とは?

みなさんも「〇〇バイオティクス」という言葉、耳にしたことがあると思います。「似たような言葉で違いがよく分からない」「そもそもどんな意味なの?」と疑問が多いと思います。

なかでも、私たちの腸内細菌に働きかけ腸内の善玉菌を増やすとして近年注目されているのが「ポストバイオティクス」!

乳酸菌などの発酵菌が食べ物に含まれる栄養から生み出す、体に有益に働く物質です。

「プロバイオティクス」

人体に自然に棲んでいるビフィズス菌や乳酸菌、を生きたまま腸まで届けること。

「プレバイオティクス」

腸にいる善玉菌が働くためエネルギーとなるオリゴ糖や食物繊維をおぎなうこと。

「シンバイオティクス」

体内に棲む善玉菌の働きを活性化させるため、プロバイオティクスとプレバイオティクスを同時に摂ること。

「ポストバイオティクス」

殺菌された乳酸菌や、発酵菌が代謝することで生み出す健康に役立つ物質。「乳酸菌産生物質」や「発酵菌代謝物」と呼ばれることもあります。

現在発見されている腸内細菌が生み出すポストバイオティクスの持つ働きは、次のとおりです。

  • 酢酸…腸の中の悪玉菌を抑える。肥満を予防。
  • 酪酸…大腸バリアを強化。免疫細胞にも働きかける。
  • プロピオン酸…腸のぜん動運動のエネルギー源。
  • GABA…ストレスを緩和しリラックスを促す。
  • HYA…血糖値の上昇を抑制。太りにくくする。
  • EPS(菌体外多糖)…免疫力を調整する。
  • αケトA…免疫による炎症を抑え、アレルギーを抑制する。
  • ウロリチン…細胞の活性化や、筋肉機能を改善。アンチエイジング作用も報告されている。

 

体内の菌についてはまだまだ未知の部分が多く、研究が進むにつれ、ますますポストバイオティクスの種類も増えていくと期待されています。

 

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